マイホームの新築やリフォームを行うとなれば、お世話にならざるを得ないのが建築会社の方や職人さんとなります。
そして工事中は「10時と3時にお茶を出すべき」などと言われていますが、いざお茶を出してみたら『あまり喜んでもらえなかった』というケースも多いようです。
そこで本日は「工事で職人へのお茶出しは必要?建築のプロとの接し方を解説いたいします!」と題して、お茶出しの作法から、職人さんとの打ち合わせのコツなど、現場関係者との上手な付き合い方についてお話ししてみたいと思います。
職人さんとの付き合い方は非常に大切
不動産会社に勤務している管理人ですが、私の会社では土地を仕入れて戸建てを建築・販売する「建売事業」を行うことも多いですし、賃貸物件の管理業務においては「リフォーム工事の手配」をすることも少なくありません。
そして、こうした仕事をするに当たって避けては通れないのが建築のプロである「職人さん達とのお付き合い」となるのですが、新人の頃は私の仕事の手配の悪さが原因で「怒られてしまうこと」も多々あり、彼らとの接し方にはかなり苦労させられたものです。
また一口に職人さんと言っても、現場監督に大工さん、塗装屋さんにクロス職人、配管工から電気屋さんまで「様々な業種の方」がおられますし、その中には非常にクセの強い方がいらっしゃるのも確かでしょう。
なお、大手の建築会社ともなれば、仕事をお願いするのにあたって「専属の営業マン」が親切に対応してくれるものですが、実際に工事が始まると現場にやって来るのは下職の職人さんとなるのが通常であり、最初に窓口となった営業マンとの落差に『戸惑ってしまう』というケースも珍しくありません。
もちろん、一般の方が工事をお願いした場合には「怒られる」などということは殆どないとは思いますが、職人さんと接していて「明らかにイラっとした態度をとられた」「不親切だと思った」といった経験をお持ちの方も少なくないはずです。
なお、このような態度をとられて『お金を払っているのはこちらなのに、どうしてそんな対応をするのか?』と不満を感じておられる方もいらっしゃるとは思いますが、彼らは職人という文字通りの「作業のプロ」であり、『愛想を振りまくことは仕事ではない』との考えの下に、こうした振る舞いをしている方も多いと聞きます。
ちなみに私も不動産の仕事を始めたばかりの頃は、そうした彼らの考えが理解できず「トラブルに発展すること」も多かったのですが、付き合い方のコツが掴めてからは、
本来は有料であるはずの工事をサービスで行ってもらったり、普段なら断る危険な仕事を請け負ってもらえたりもしていますので、皆様にも是非この機会に彼らとの上手な接し方を身に付けていただければ幸いです。
賢い職人さんとの接し方
では早速、職人さんと良好な関係を作るコツについて考えてみましょう。
仕事の特性を理解する
職人さんと上手く接するのにまず大切なのが、
「工事のプロ」という彼らの仕事の特性を理解すること
となります。
以前、私が担当する建売の建築現場において、設計サイドからの注文で「一度完了した工事をやり直す」という場面がありました。
この時は私がミスをした訳ではなかったのですが、現場の職人さんの口からは「俺達は釘一本打ってなんぼの商売だからさ・・・」という愚痴が飛び出します。
確かに考えてもみれば、彼らの仕事は天候にも大きく左右されますし、工期が想定外に伸びることはその後の仕事の流れに致命的なダメージを生じさせることもあるため、
- 工事開始後のオーダー変更
- 施主が工事の方向性に迷い始め作業が止まる
- 突然の追加工事の発生
といった事態に職人さんは非常に大きなストレスと感じることになります。
よって、作業をお願いする時には事前の打ち合わせなどをできる限り綿密に行い、極力途中変更が出ないように心掛けるのが重要でしょう。
なお、こうした職種であるが故に職人さんへ『工事内容について提案をして欲しい』などのお願いをすると、「最も手間の掛からない作業」を提案してくることも少なくありません。
もちろん、いくら職人さんに都合が良くても施主が満足できない工事などナンセンスですから、こうした際はしっかり自分の意見を相手に伝えるようにしましょう。
職人さんの立場を考える
職人さんの仕事の特性がご理解いただけたところで、次に気を付けたいのが職人さんの置かれた立場に関する問題となるでしょう。
大手の建築会社の中には、全ての職人さんが「同じ会社の社員」というケースも稀にありますが、通常は「それぞれが独立した仕事をしている職人さんたち」を、下請けという形で手配しているパターンが殆どとなります。
よって、「追加工事の注文」や「作業内容の変更」などを施主が勝手な判断で下職に伝えると現場が大混乱となってしまうこともあるのです。(下請けである以上、いくら施主からの指示であっても勝手にこれを実行することはできないため)
こうした職人さんたちの立場をしっかりと理解した上で、
重要な情報の伝達や工事の方向性の打ち合わせなどは『現地の職人さんではなく責任者(現場監督など)と直接行う』のが、作業をスムーズに進める秘訣
となるでしょう。
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工事期間中のお茶出しについて
ここまでお話しして来たように、「とにかく仕事の合理性を重んじる職人さんたち」ではありますが、もちろん彼らも普通の人間です。
よって、「的を射た気遣い」をして上げれば素直に喜んでくれるものですし、普段はしないサービスなどを受けられることもあるでしょう。
ただここで大切なのが、
気遣いのつもりが、見当違いなものとなっていないか
という点になります。
例えば「お茶出し」において、工期が迫って焦りながら作業をしている時に「一服なさってください」などと呑気なことを言いながら、『食べるのに時間が掛かるおやつ』を差し入れられるのは、正直ありがた迷惑となるでしょう。
また、3時の休憩などに「胃に重たい食べ物を出される」のも身体を使う彼らには厳しいところですし、「夏場に熱いお茶」「冬場に冷たい飲み物」なども辛いところです。
このように、「現場で働く人間が何を欲しているか」を的確に見抜いた上での気遣いができれば、職人さんとも良好なお付き合いが可能となるでしょう。
なお、お茶出しのタイミングとしては
- 10時の休憩
- 12時の休憩
- 15時の休憩
というのが一般的ですが、作業の進捗状況によって時間が前後することも珍しくありませんので、夏場はクーラーボックス、冬場は保温ポットなどを利用して、セルフサービスで飲み物を手にすることができるようにしておくのも一つの方法であるかと思います。
ちなみに私の場合は、敢えて10時、3時には差し入れを行わず、その他の時間に声だけを掛けて(作業の邪魔をしないように)、飲み物などを現場に置いて帰るようにしています。
10時、3時の休憩は、先輩職人が後輩にお茶を奢ったりといった「職人さん同士のコミュニケーションの場」ともなっているようですから、『これに水を差したくない』という想いと、休憩がまだ先という時に差し入れが届けられる方が「彼ら的には嬉しいのではないか」と考えてのことです。
また、毎回飲み物というのも芸がないので、栄養ドリンクや、冬場は中華まん(手が汚れていても食べやすい)などを差し入れることもあります。
行間を読む
そして最後に重要になるのが、職人さんとの打ち合わせなどにおいては会話の行間を読むということです。
職人さんの中には口数が少ない方も多いですし、細かいことは言いたくないというタイプの方も少なくありません。
こうした彼らの本心を
言葉数の少ない会話の中から、如何に読み取ることができるか
という点が、施主として非常に大切なスキルとなってきます。
以前、私はある現場で「この下水の升を移動させられますか?」と職人さんに尋ねたところ、「無理っすね」との返事が返って来ました。
しかし、どう考えても『技術的に無理なはずはない』ので、「何が無理なの?」と返してみたところ「今のままの工事費用では無理っす」とのことでした。
そしてこの時は多少費用が掛かっても下水升の移設がしたかったので、お願いすることにしましたが、もし「何が無理なの?」と質問を返していなければ、『技術的に不可能』という勘違いをしたまま不本意に工事を終えることになっていたでしょう。
このように誤解を生みやすい職人さんの言葉の行間を読むことは、非常に大切な事項となる訳です。
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建築のプロとの接し方を解説まとめ
さて、ここまでお話して来たのが「私がこれまでに学んで来た職人さんとの接し方のコツ」となります。
自分が営業の仕事をしていたり、サラリーマンであったりすると、ついつい相手も「普段自分が接している者たちと同じ目線に立っている」と思ってしまいがちですが『立場が違えば考え方も大きく異なる』ものです。
よって、「職人さん」という立場をしっかり理解して上げることが、彼らと良好な関係を作る近道であるように思います。
なお、工事の現場であれこれと施主が質問するのは、職人さんから「面倒臭がられそう」な気もいたしますが、『自分の仕事に興味を持ってくれる人間に対して悪い気はしない』とうのも本音のようですから、邪魔をしないレベルで見学などをしていると『むしろ仲良くなれてしまう場合もある』でしょう。
そして、アパート経営をされている方や、不動産屋さんの営業マンであるならば、建築の知識を身に付けておいて損はありませんので、こうした機会をフルに利用して、職人さんとの人脈作りや知識の吸収を行うのも良いかもしれません。
ではこれにて、「工事で職人へのお茶出しは必要?建築のプロとの接し方を解説いたいします!」について知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。