マイホームの購入に当たって「一戸建て」を選択した方々には『どのような地形(ちけい)の物件を選ぶか?』というお悩みが付いて回ることと思います。

もちろん、どのような地形の土地にもそれぞれにメリットとデメリットが存在しており、その優劣を論じるのは困難ですが、その中でも異色の存在とされるのが「道路より低い土地」なのです。

そこで本日は「道路より低い土地を購入する際の注意点を解説いたします!」と題して、比較的安価に物件購入が可能な道下(みちした)物件の特徴についてご説明して行きたいと思います。

道路より低い土地

 

道路より低い土地とは

さて、いきなり「道路より低い土地」と言われても、なかなかイメージが付かない方も多いかと思いますので、まずはこの物件の概要からご説明してまいりましょう。

不動産業者の間で「道下(みちした)物件」と呼ばれるのが、

基本的な地盤面の高さが「接している道路と比べて低い状態」にある物件

であり、原則こうした土地は通常の地形の物件よりも安価な価格設定がされることになります。

では、「実際にどれくらい安い価格設定がなされるのか?」という点が気になるところかと思いますが、

通常の物件の70%~80%程度の値付けが行われることも多い

のが実情です。

ちなみに、本ブログにおいては常々「価格が安い不動産には必ず訳があるの」とお話ししてきた通り、この「道下の物件」にも多くの弱点があるのは間違いありません。

但し、道下物件に関しては上手に物件を選ぶことによって「デメリットを補って余りあるメリットを享受することも可能」となりますから、ウィークポイントがあるという理由だけで購入を断念するのは少々もったいない部分もあるのです。

そこでまずは、道下物件ならでは問題点をご説明してまいりましょう。

道下物件のデメリット

さて、道下物件の問題点としては

  • 日照の問題
  • 湿気の問題
  • 騒音・振動の問題
  • プライバシーの問題
  • 建築の費用や技術的な問題
  • 雨水流入の問題

以上のものが想定できます。

道路より低い土地の弱点としてまず挙げられるのが、「日照の問題」となるでしょう。

もちろん接している道路から『どれくらい低い位置に土地があるか』にもよりますが、2~3mの高低差があれば1階部分の日照がかなり阻害されるのは間違いありませんし、日当たりと風通しが悪ければカビの発生など「湿気による問題」も引き起こされることになります。

また、建物の地盤よりも高い位置を自動車が通過することにより、「振動や騒音が一般的な土地より激しくなる」ことが想定されますし、道路を通行する歩行者や車両からの視線に対する「プライバシーの保護」も必須となるはずです。

そして、道路との高低差が激しい物件なら玄関を2階以上の部分に造らなければならなくなる上、道路から往来するための経路を確保するために「橋のような通路」を作り、そこを駐車場として使用せざるを得ないケースもあるでしょう。

更に、電気・水道などはたとえ土地の位置が低くても問題なく利用することができますが、下水は電動のポンプなどで汚水等を汲み上げ、道路内の下水本管へ排水しなければならないケース(下水本管よりも地盤面が低い場合)もありますので、家を建てる際の「建築コストの上昇や技術的な問題」にも対処していかねばなりません。

ちなみに地盤面が低ければ、より高い位置にある道路や隣地から雨水が流れ込んでくることになりますから、排水溝の設置など「雨水流入への対策」も必要です。

このように道路より低い土地には「一般的な物件には存在しない様々な問題点がある」ために価格設定も安価となっているのです。

そして、こうした解説を聞いてしまうと「道下物件なんて買わない方が良いのでは?」というお気持ちになってしまう方も少なくないように思えますが、

先程も申し上げた通り、物件の選び方次第では『道下物件ならではの価格設定のまま、通常の物件以上のメリットを得られる可能性』も充分に残されていますので、是非最後までお付き合いをお願いできればと思います。

そこで次項では、「このような道下物件こそ狙い目」という土地の条件をご紹介してまいります。

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狙い目となる道下物件

では早速、狙い目の道下物件の条件を解説してまいりましょう。

日照や湿気の問題

まず道下物件を購入するならば、平坦な地形のエリアよりもアップダウンのある山側の地形のエリアを選ぶのが得策です。

もちろん平坦な地形のエリアでは道路を宅地よりも高い場所に設置する必要がありませんから、「道下物件自体が少ない」ということもありますが、立体交差点の周辺などにはそれなりに道下物件が存在しています。

ただ、こうした平坦なエリアでは用途地域などの関係で、建物と建物の距離が非常に狭くなっているケースが多いため道路側からの日照が確保できないことに加え、他の方向からも採光が望めない土地となる可能が高いでしょう。

これに対して、第一種低層住居専用地域などで多く見られる

「地形にアップダウンの多い地域」では道下でもそれなりの日照や通風が確保できる物件も少なくない

はずです。

更にアップダウンのある地形のエリアでは、たとえ物件が道路よりも低い位置にあっても、その他の方位の隣接地の地盤が更に低くなっているケースも珍しくありません。

つまり、土地の道路側は道下で暗いものの、

土地の反対側は隣家が更に低い位置にあるため「通常の土地の1階以上に日当たりが良い」という場合がある

という訳です。

ちなみに、こうした日照条件を確保したいのであれば道路が土地の北側を走っており、南側が傾斜地となっている物件がおすすめかと思います。

道路の騒音やプライバシーの問題

さて、もう一つの道下物件の問題点である「前面道路の騒音やプライバシーなどの問題」ですが、こちらも閑静な住宅街を選ぶことで緩和が期待できます。

もちろん片側2車線、3車線などという大通りではそれなりの音や振動もあり、交通量も凄まじいでしょうが、

片側1車線かそれ以下の道路を選ぶことで、住環境はかなり良好なものとなる

はずです。

但し、あまりに道幅が狭い道路の場合、道の反対側の土地に背の高い建物が建つことによって「自分の土地が真っ暗なってしまう可能性」もありますから、この点には少々注意が必要でしょう。

なお、幹線道路沿いを選べばバス停なども近くにある可能性が高くなりますし、コンビニやスーパーなどへの便も良くなるはずですが、道路からの視線と言う意味ではある程度の対策が必要となりそうです。

下水や雨水の問題

道下物件の場合、下水本管への排水勾配が確保できないために「汚水等をポンプアップして排出しなければならない」とお話ししましたが、実は『ポンプを利用しなくても済む場合』もあります。

そして、これを実現させるには

「前面道路の地中深くに下水の本管が敷設されている物件」を選ぶ必要がありますから、購入の意思を決定する前に下水の配管図を確認する

ことが肝心です。

さて、このようなお話をすると「いくら地中深くとは言っても3m、4mくらいでしょ」と思われるかもしれませんが、中には地中10m以上の深度に下水の本管が敷設されている地域もありますから、道路から5m、6m落ちている宅地でも、楽々下水本管への流し込みが可能となります。

なお、下水本管へ直接排水が行えるのであれば、隣地などから流れ込む雨水の処理も容易に行えるはずですから、建築に要するコストも削減が可能となるはずです。

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道路より低い土地を購入する際の注意点を解説まとめ

さてここまで道下物件の弱点や、その問題点をクリアーし得る物件の条件などについてお話ししてまいりました。

そしてもしも、「狙い目となる道下物件」の項で解説した条件を満たす物件に出会うことができれば、価格は相場の70%~80%程度で南側の日当たりは良好、

交通の便も良く騒音などもそれ程苦にならず、下水のポンプアップも不要となりますから、これは最早「掘り出しもの」と言っても差支えのないレベルとなることでしょう。

よって、道下物件というだけで「問題が多い物件」というレッテルを貼られてしまいがちですが、一定の条件が整えば「化ける」ことも少なくありませんので、物件探しの際には是非頭の片隅に本記事の内容を留めておいていただければと思います。

また、道下物件以外の一見問題が有りそうな物件でも、同様に周囲の環境次第で「通常の物件と変わらない利便性を有するケース」もありますかから、物件を選ぶ際には先入観に囚われない柔軟なマインドが必要であるように思います。

「正しい知識」と「物件を見る目」を養い、素敵なマイホームを手に入れたいものですよね。

ではこれにて、「道路より低い土地を購入する際の注意点を解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたと思います。