賃貸マンションやアパートの経営をしていると「お部屋同士や近隣とのトラブル」や「家賃の滞納」、「厄介な入居者の更新を拒絶したい」など、様々な問題にぶつかるものです。

なお、このような状況で非常に心強いのが「管理を任せている不動産業者」の存在となりますが、『賃貸管理会社ごとにスキルに大きなバラつきがある』のも事実であり、こうした問題を解決するべく創始されたのが賃貸不動産経営管理士という国家資格となります。

そこで本日は「賃貸不動産経営管理士とは?わかりやすく解説いたします!」と題して、賃貸管理のエキスパートとなるための登竜門である国家資格についてお話ししていきたいと思います。

賃貸不動産経営管理士

 

賃貸不動産経営管理士の概要

さて「賃貸不動産経営管理士」という資格について、詳しくご存じの方は意外に少ないのではないでしょうか。

なお、不動産関係の資格と言えば宅地建物取引士やマンション管理士などが有名であり、それぞれに「不動産取引の専門家の育成」や「分譲マンション管理業の品質確保」などを目的としていますが、

不動産業者の業務の中でも非常に大きなウェイトを占める『賃貸物件の管理』には、これまで特別な資格制度は導入されない状態が続いていました。

しかしながら時代の流れと共に、賃貸管理に係わるトラブルの発生件数も増え始め、法整備や資格制度の導入が検討され始めたのです。

ちなみに不動産業界には、多くの不動産会社が加盟する2つの大きな業界団体(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会・公益社団法人全日本不動産協会)が存在しており、

各々の団体が賃貸管理に係わる業務環境整備の必要性から独自に「賃貸管理に関する資格制度」を立ち上げていたのですが、

こうした資格が「賃貸不動産経営管理士」という国家資格に一本化される

ことになったのです。

そして資格制度設立の主旨としては一定の基準を設けることで「賃貸管理に携わる者の業務スキルを向上させる」ことを目的としており、試験をパスするためには極めて実践的な知識が求められるため、「資格取得=人材の育成」になるとして不動産業界内でも現在注目を集めていました。

また、2021年6月に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」においては、

賃貸管理業者の登録制度がスタートすることとなり、この登録に当たっては「業務管理者」の設置が義務付けられる

こととなり、この業務管理者の用件となるのが

  • 賃貸不動産経営管理士/2年以上の賃貸管理業務の実務経験が必要
  • 宅地建物取引士/2年以上の賃貸管理業務の実務経験に加え、指定講習の修了が必要

以上の内容となっているため、現在では賃貸不動産経営管理士は管理会社にとって必須の存在となっているのです。

なお、賃貸不動産経営管理士の試験合格後、業務管理者になるには登録手続きが必要となりますが、以下の方については

  • 2年以上の賃貸管理業務の実務経験がない者/賃貸住宅管理業務に関する実務講習の受講
  • 試験合格後1年以上経過している者/登録講習の受講

以上の講習を受けた後の登録となります。

賃貸不動産経営管理士の業務内容

これまでの解説にて賃貸不動産経営管理士の概要についてご理解いただけたことと思いますので、ここからは賃貸不動産経営管理士が管理会社で行う日常的な業務、そして法律において定められた業務管理者の業務(法律上、業務管理者の役割とされている業務)の内容について見ていきましょう。

まず、賃貸不動産経営管理士の日常的な業務としては

  • 管理受託契約の締結
  • 長期修繕計画の立案
  • 賃貸経営の提案
  • 建物維持管理に係わる業務
  • 原状回復に係わる業務
  • 賃料収納業務
  • 契約更新に係わる業務
  • 解約業務
  • 賃貸相談業務
  • 良好な住環境提供に係わる業務

以上のようなものが挙げられます。

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一方、法律上で業務管理者の役割とされている業務が、

  • 管理受託契約締結前の重要事項説明及び書面の交付
  • 管理受託契約書の交付
  • 賃貸住宅の維持保全
  • オーナーへの定期報告
  • 業務上知り得た秘密の保持
  • 賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施の確保
  • 家賃、敷金、共益費その他金銭の管理
  • 賃貸住宅の維持保全
  • 賃貸住宅の入居者からの苦情の処理

などとなっています。

賃貸不動産経営管理士の資格取得の魅力

さて、これまでの解説をお読みになられた方の中には「自分は大家であり、管理会社に勤めている訳ではないので資格は不要だ」などとお思いの方も少なくないかもしれませんが、既にお話しした通り、この資格で最も注目するべきは「資格を取得して何ができるか?」ではなく

『資格を取得するための勉強により、得られる知識が非常に有益である』という点

となります。

ちなみに、実際の過去問題に目を通してみると、その出題範囲は

  • 賃貸に係る基本的な民法上の知識
  • 住民とのトラブル解決に必須な法律知識
  • 建築に係る問題
  • 管理受託契約に関する知識
  • 家賃等の金銭管理に関する知識

なども網羅されたものとなっているのです。

そして、その学習内容は「日頃から賃貸物件の管理に携わっている不動産業者にもかなり参考になるもの」となっている上、賃貸経営をされている大家さん的にも『知っておいて損のない知識ばかり』となるでしょう。

なお世間一般的には、不動産の知識を身に付けたいのであれば「宅地建物取引士の資格を取得することが最適」とされていますが、それはあくまでも不動産全般の知識を指しての言葉となるはずです。

また、宅地建物取引士の試験で出題される問題は少々実務とかけ離れた内容が多いの対して、賃貸不動産経営管理士は学んで直ぐにアパート経営の参考になるものが多いですから、これはなかなかにお得な資格と言えますよね。

資格試験と言えば、それを取得することにより「こんなことができる!」といった実益の面ばかりがクローズアップされがちですが、賃貸不動産経営管理士のように「勉強すること自体に意義がある資格」というのも、実にやりがいがあるものなのではないでしょうか。

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賃貸不動産経営管理士とは?わかりやすく解説まとめ

ここまで「賃貸不動産経営管理士という資格の魅力」についてお話ししてまいりました。

実は私もこの賃貸不動産経営管理士の資格を取得しているのですが、試験に備えての勉強がとても実務上で役に立ったので、こちらの記事を書かせていただくこととなった次第です。

宅地建物取引士受験の際は既に不動産の仕事をしていたものの、その勉強内容に関して「いまいちピンッとこないもの」が多く、とにかく丸暗記をするしかなかったのが現実でした。(実務と少々掛け離れた内容が多かったため、日々の仕事とは別の資格に挑んでいるような印象を感じていました)

それに対して、賃貸不動産経営管理士の勉強においては『なるほど、なるほど』と頷きたくなるような即戦力的な知識が多く含まれている上、「これは知らなかった・・・」という発見にも満ちたものであり、勉強自体が楽しく感じられたのを覚えています。

よって、既に不動産業者となっている方にはスキルアップを目指して是非とも取得して欲しい資格であると思いますし、本格的に不動産投資家を目指そうという物件オーナー様にとっては「賃貸運営の基本」と「管理業務の本質」を的確に学ぶことのできる非常にお得な資格と言えるでしょう。

また試験合格後、登録が完了すると定期的に『賃貸不動産経営管理士通信』なる冊子が送られて来るようになり、そこには「不動産賃貸業界の動向」から「法改正の概要」、「空室率低下に役立つ知識」などが豊富に詰め込まれておりますから、こうしたサポートサービスもこの資格取得の魅力の一つに挙げられるのではないかと思います。

不動産投資家さんから地主系大家さんにもおすすめの「賃貸不動産経営管理士」の資格を取得して、ワンランク上の賃貸経営スキルを身に付けてみては如何でしょうか。