これまで本ブログでは、不動産会社の仕事内容の紹介や、成約に向けてのテクニックなどをご紹介してまいりました。
しかしながら、これから不動産会社の採用試験に臨むという方にとっては「履歴書の志望動機に何を書けば良いのか?」「面接で如何なるアピールをすべきなのか?」など、まだまだ知りたいことが多数存在するはずです。
そこで本日は「不動産会社面接合格のコツを伝授いたします!」と題して、不動産会社の入社試験通過のポイントをお話ししてみたいと思います。

不動産会社が採用したい人材とは
さて、「不動産会社への就職をご検討されている方」へまず申し上げたいのは、この業界では「採用の門戸を広くして、使えない人間はさっさと切り捨てて行く」という風潮が伝統的に引き継がれていたという点です。
そして、このようなお話をすると「だったら誰でも採用してもらえるのでは?」と思われてしまいそうですが、これはあくまでも昔のお話であり、現在では一度正社員として採用した者を辞めさせるのが非常に困難な状況となっているため、
採用する側としては
気軽な切り捨てができない分、より慎重に採用者を決定しなければならない
という戦々恐々とした状況になっているのが実情でしょう。
また、一口に不動産業者と言っても会社によって業務の形態は様々である上、「この会社は成績が上げやすい」「ノルマが厳しくない」などの情報が業界内を駆け巡っていますから、
たとえ中小企業であっても人気のある会社に採用してもらうのは「非常に狭き門である」
と言わざるを得ません。
ましてや、即戦力である業界経験者を押しのけて、業界未経験の方が採用を掴み取るとなれば、これはもはや奇跡に近い確率となるはずです。
ただ、「どのような人材を不動産会社が欲しているのか?」というポイントをしっかり押さえて面接に臨めば、その低い確率を大幅に上昇させられるのは確かですから、まずは会社が欲しがる人物像を解説していくことにいたしましょう。
会社のカラーに染まれる人材
先程もお話ししましたが、不動産会社の業務内容は会社によって相当な違いがあります。
例えば同じ売買仲介の会社同士でも、扱う物件について
- 戸建てや分譲マンションの仲介が多い
- 事業用物件がメインである
- 投資用物件の仲介が専門
と言った違いがありますし、
賃貸の営業マンならば
- 客付け業務が中心
- 物件の管理業務が多い
という仕事内容による差もあるでしょう。
また、こうした業態における差異以外にも、
- お客様への接し方(接客方法)
- 契約書に入れる文言の内容
- トラブルが発生した場合の対処法
など、一つ一つの仕事の進め方が会社ごとにかなり異なっているのが実情です。
よって中途採用の場合などは、「前の会社で当たり前だったことが、新しい会社では問題視される」といったことも珍しくはありません。
そして特に熟練した営業マンの場合には、自分なりの「やり方」が染み付き過ぎており、採用する側としては『扱い辛くて仕方がない』というケースも多いものです。
よって、たとえ未経験者であっても「ポテンシャルが高い」と判断できる者に関しては、
仕事のやり方にクセがない分、経験者よりも会社にとって受け入れやすい人材
と評価される場合も少なくありません。
誠実な人柄であること
これは全ての業界で共通することなのでしょうが、企業は「誠実な人材」が欲しいものです。
なお、このようなお話をすると「何を当たり前のことを」と言われてしまいそうですが、特に不動産業界においては、この傾向は非常に強いものとなります。
不動産会社の営業社員は仕事の性質上、
高額な現金を扱うことになる上、悪いことをしようと思えばいくらでも「やれてしまう立場」ある
というのが現実です。
現在では、お客様からの預かり金を「ちょろまかす」といったベタな手口は少なくなりましたが、工事業者とグルになりリフォーム費用を水増し請求して、工事完了後に業者からのバックマージンを受け取るといった不正は日常的に行われています。
そして、建売屋さん(戸建て分譲業者)などにおいては「建売の新築工事費用をハウスメーカーに高めに見積もらせて、マージンを受け取る」という、『自身が勤める会社をターゲットにした背信行為』を平気で行う者もいるのです。
また、こうしたダイレクトな手口以外にも、自分の営業成績を上げるためにお客様へ虚偽の内容の重要事項説明を行い、後々これが発覚して会社が行政処分を受けるケースもありますから、採用する人材に求められる「人間性の高さ」「誠実さ」は他の業界以上のものとなるでしょう。
勉強家であること
本ブログの読者の方ならお解りのことと思いますが、「不動産の取引において全く同じパターンのもの」は一つとしてありません。(同じ仲介取引であっても、物件も取引相手も毎回変わるという意味で)
よって、取り扱う案件ごとに様々な「調査」や「勉強」が常に付きまとってくるのが当たり前です。
また、不動産業界では先輩が後輩に手取り足取り仕事を教えることは殆どありませんので、「仕事でわからないことが出て来た際に、他の社員に聞きまくる」ような人材は正直煙たがられるだけとなります。
そこで重要なのが、
何でも自分で調べ、自分で問題を解決していけるスキル
となる訳です。
決断力を有していること
売買であれ、賃貸であれ不動産業を行っていると「様々な選択を迫られる」ものです。
例えばお客様が購入を決断しようとしている物件について、告知すべき重大な事実がある場合には
- 成約できなくなったとしても、事実を告知する
- 告知は行うが、最大限婉曲な表現で伝える
- 一切告知を行わない
以上のような選択を迫られることになります。
もちろん、伝えるべきことを告知しなければ取引上の大きなトラブルに発展するケースもありますが、表現方法の違いによっても「相手の受け止め方」は全く変わってくるものです。
また、そもそも「伝える必要なないのでは・・・」と自分でも疑問に思うような場合だってあるでしょう。
こうした状況において、
如何に正確に状況を判断し、的確な決断をくだせるか
という点は、採用を行う不動産会社が非常に重きを置く点となるでしょう。
資格を持っていること
不動産業界で仕事をするにあたって、持っていると非常に便利なのが「各種の資格」となります。
ところが営業職は時間の自由が利かないため、新たな資格を取得するのが非常に困難ですから、資格を持っていることは「業界未経験の方が存在感をアピールするには最適な手段」となるでしょう。
なお、不動産業界へ就職するにあたって、プラスに評価される資格としては
- 宅地建物取引士
- 設計士
- ファイナンシャルプランナー
- マンション管理士
- 管理業務主任者
- 賃貸不動産経営管理士
- 防火管理者
- 不動産コンサルティングマスター
などが挙げられます。
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面接攻略のポイント
ここまでのお話で、如何なる人材が不動産会社に歓迎されるかについてはご理解いただけたことと思います。
そこでここからは、「面接で如何に自分をアピールしていくべきか」という点についてお話ししていきましょう。
なお、「履歴書の内容にはあまりこだわらない」という方も多いようですが、履歴書は企業と就職希望者を繋ぐ重要なツールとなりますので、これにも充分な力を注ぐべきです。(志望動機の欄に記載する内容を精査するなど)
また面接時の質問内容も履歴書の内容に大きく左右されますから、前項でお話ししたポイント(自分が如何に会社に求められている人材であるかのアピール)をふんだんに盛り込んだ上、「この点は是非詳しく聞いてみたい」と面接官に思わせるツッコミ所も用意しておきましょう。
では、こうした点を念頭に置きながら、実践的な面接での対応を見て行きましょう。
会社のカラーに染まれる人材であることをアピール
業界経験が無い方には「なかなかアピール方法が難しい」とは思いますが、前職を例に出して『自分が如何に会社に対する適応能力があるか』を伝えるのが良いでしょう。
例を挙げるなら「(前職では)配属される支店ごとに業務内容はガラリと変わっていましたが、郷に入っては郷に従えの精神で、柔軟に仕事をこなして来ました」という実績のアピールに、
「不動産業界も会社によって仕事の進め方が大きく違うと聞きますが、真っさらな気持ちで御社のやり方を覚えて行きたいと思います」などの受け答えが模範的であるかと思います。
誠実さをアピール
こちらも前職の経験などを引き合いに出して、具体的に自分が如何に誠実な人間であるかをアピールして行きたいところです。
「前の職場では、クレーム対応について専門の部署がありましたが、可能な限りは自分で責任を執りたいと考え、90%以上の苦情は自分自身で解決してまいりました」ですとか、
「前職では、業務で使用した交通費の精算について領収書の提出が不要だったのですが、私は性格上この制度に納得できず、毎回切符の写真を添付して経理に申請を行っていました」などのエピソードを加えると、誠実さのアピールになるかと思います。
勉強家アピール
「就職前に少しでも不動産の勉強をしようと、ネットなどで情報を集めていました」などのコメントは、自分の勉強家ぶり、努力家ぶりを宣伝する絶好の材料になるはずです。
もちろん知ったかぶりはご法度ですが、「当ブログ(不動産の知恵袋)などを読み込んで、業界の雰囲気を勉強していました」などのコメントは評価してもらえることでしょう。(笑)
決断力があることをアピール
自分の決断力をアピールするには「具体的なエピソード」を語るのが一番確実方法となるでしょう。
ただし、あまりに「竹を割った感じのエピソード」は独断専行型のイメージを与えてしまうでしょうし、「ソフトすぎるエピソード」なお話はインパクトに欠けますから、話す内容のチョイスが難しいところです。
そして非常に重要となるのが、『その決断に至るまでにどのような心の葛藤があったかを端的にわかりやすく表現すること』となるでしょう。
資格アピール
こちらは資格を持っているだけで強力なアピールとなるでしょうが、具体的に「如何なるシーンで能力を役立てられるか」を的確に相手に伝えたいところです。
なお、本ブログのこれまでの記事をお読みくだされば、「それぞれの資格がどのような形で不動産の仕事に役立つか」をご理解いただけることと思いますので、是非参考になさってください。
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不動産会社面接合格のコツを伝授まとめ
さて、ここまでが不動産屋さんの営業社員採用面接の攻略ポイントとなります。
もちろん最終的には、「自分の魅力を如何に相手に伝えられるか」というスキルの問題となりますが、相手が必要としない能力をアピールしても全く意味がありませんので、本記事で正しいアピールの方向性を身に付けていただければ幸いです。
なお、未だに不動産業界には「ブラック企業」と呼ばれる会社も少なくありませんので、採用試験を受けるにあたっては『如何なる会社に応募するか』も重要なポイントとなるはずです。
ちなみに、この点がご心配な方は別記事「就職するのに良い不動産屋さんと、そうではない会社さん」にて詳しい解説を行っておりますので、是非ご参考にしていただければと思います。
ではこれにて、「不動産会社面接合格のコツを伝授いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。