「不動産投資を始めよう!」と思い立ったなら、まず行うべきは『資金計画の策定』と『物件探し』ということになるでしょう。
特に物件探しについては「より立地条件が良く、少しでも利回りが回りそうな物件はないものか・・・」と血眼になってしまいがちですが、ここでは注意すべき点も少なくありません。
なお、物件選びにおける注意点については、以前に「収益物件購入のポイントと注意点について」という記事にて、立地や建物の外観、利回り等の切り口で解説を行いましたが、本記事では「物件の間取り」に着目してお話をせていただきたいと思います。
では、投資物件の間取りを大研究する知恵袋を開いてみましょう!
利回りと同じくらいに間取りは大切!
収益物件を選ぶ際、不動産投資家は実に様々な角度から「物件に対する検討」を行うものです。
駅からの距離に賃料設定、周辺環境など、確認すべき項目は多岐に及びますが、物件の借手となる入居希望者の意思決定においては「お部屋の間取りが自分に適しているか否か」が非常に大きなウェイトを占めることになりますから、『間取りに対する検討』も欠かすことはできません。
そしてこのようなお話すると、「自分が賃貸物件を探した時には、そこまで間取りにこだわった覚えはないけど・・・」とお思いになられるかもしれませんが、人間は無意識に「好みではない間取り」を避ける傾向にあるともいわれていますから、「覚えがない」のではなく、好みでない物件は『目に留まっていない』というのが正確な表現なのかもしれません。
なお、自分が「お部屋を探す立場」であるならば、このようなお話を聞いても「そうなんだー」で聞き流せるところですが、これが収益物件のオーナーという立ち位置ともなれば「戦慄を感じざるを得ない」というのが本音でしょう。
このように投資物件の購入に当たっては、間取りの良し悪しは正に「生死を分ける」といっても過言ではない程に重要な事項ということになるのです。
但し、入居希望者から「どのような間取りが好かれ、如何なる間取りが嫌われるのか?」という点については、なかなか思い至れるものではありませんし、中古収益物件の購入ともなれば「賃借人入居中のため、お部屋の中を見ることさえできないケース」も少なくありませんから、これはますます『困った状況』となってきますよね。
そこで次の項では、不動産屋さんの目線で見た収益物件の間取りの良し悪しについてお話ししてみたいと思います。
ワンルーム・1K・2Kの間取りを考える
一棟もの、分譲マンションといった物件種別を問わず、投資対象として最も多く流通しているのが、ワンルーム・1K・2Kなどの「単身者向けのお部屋」であるかと思います。
このタイプのお部屋は、建物の大きさの対して部屋数を多く取ることができる上、専有面積に対する賃料単価も高めの設定が可能となるため、正に投資に最適といえますが、「なればこそ、注意が必要な点」もあるものです。
ワンルーム・1K
ワンルーム、1K物件でまず注意したのは、お部屋自体の面積の問題です。
分譲マンションにしろ一棟ものアパートにしろ、建築会社は少しでも部屋数を詰め込んで「想定賃料収入を高額に設定できる間取り」を提案してきますので、一部屋あたりの専有面積が小さな物件が多くなりがちなのですが、一部屋の専有面積が18㎡を割り込む物件は非常に危険であると言えるでしょう。
実際に面積の小さな部屋に住んでみればご理解いただけることと思いますが、こうしたお部屋ではベッドを置いてしまうと殆ど居住スペースがないというのが現実です。
一昔前までは、それでも住みたいという方がおられましたが、最近では賃貸物件を探しにこられた方々の多くが開口一番に「20㎡以上」「30㎡以上」などとおっしゃるケースも増えて来ています。
また、近年では建築会社も空室リスクを避けるため、専有面積が小さすぎる物件のプランを提示しない傾向にありますから、この点には是非ご注意いただければと思います。
そして次に気を付けたいのが、風呂、トイレ、洗面所がセットになった「3点ユニットの物件」です。
実際に3点ユニットの物件に住んだ経験のある方ならご存知のこととは思いますが、「入浴後にトイレを使用すると非常に暑い」「カビの発生が凄まじい」など、問題点が少なくありませんし、狭い部屋のケースと同様にお客さんが不動産業者に来店するなり「3点ユニットは論外!」と言うケースが殆どですから、こちらも避けたいところでしょう。
※3点ユニットの多くは電気のコンセントが備えられておらず、ウォシュレット等の利用できない点も入居希望者から避けられる理由の一つになっているようです。
但し、こうした風潮を受けて3点ユニットの備えられた収益物件は価格が下落しているため、収納スペースなどを利用して将来的にバス・トイレ別の状態にリフォームすることが可能な物件については、むしろ購入のチャンスであるともいえるでしょう。
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2K
続いては、2Kの物件について考えてみましょう。
分譲マンションでは余程古い物件でしか見掛けないタイプのお部屋となりますが、一棟ものアパートなどでは未だにかなりの物件数が存在するはずです。
このタイプの物件は「単身者向け物件」にカテゴライズされることも少なくありませんが、実はカップルやルームシェアなどの2人入居用物件としてのニーズも少なくありません。
そこで問題になるのが、「玄関→キッチン→居室→居室」といった、『一つの居室を通過しなければ、他の居室に入ることができない間取り』となっているお部屋となります。
こうしたお部屋では「個々の入居者がプライベートなスペースを確保することが困難である」との理由から、2人入居のお客様に敬遠されるケースも多いため購入に際しては注意が必要となるでしょう。
ファミリータイプの間取り
では次に、ファミリータイプのお部屋の間取りについて考えてみましょう。
間取りのタイプとしては、2DK、2LDK、3DKなどの物件が多く、専有面積は40㎡~60㎡程度が一般的なものとなるはずです。
そして、まずいえることは「ファミリータイプである以上、専有面積が40㎡以下の物件は避けるべきである」ということになります。
これも実際に生活してみると解りますが、40㎡を下回ったお部屋は非常に狭い上、半端に面積があるため賃料も高く、前項で紹介した2K間取りのお部屋と比較すると『競争力が低い物件』と言わざるを得ません。
また、40㎡以上面積が確保されたお部屋であっても、2K物件と同様に他の居室を通り抜けなければ、辿り着けない居室がある物件は避けるべきです。
但し、通り抜ける場所が「リビング」である場合には、これを気にするお客様は殆ど居ませんので、あまり危惧する必要はないでしょう。
そして次に注意すべきは、収納スペースの大きさについてとなります。
ファミリータイプである以上、「収納が全くないお部屋」は少ないでしょうが、申し訳ばかりの収納しか付いていない物件は非常にお客からのウケが悪いのでお気を付けください。
ちなみに賃貸物件の場合、居室の面積が6帖以下なのは当たり前ですが、この広さでまともな収納スペースが備えられていないと、持ち込んだクローゼットなどに場所を取られて、ベッドが入らないといったケースも出てくるはずです。
このような事情から、「なるべくタンスを置かないで済む部屋」を念頭に部屋探しをするお客様は少なくありませんので、収納の狭い物件はどうしても避けられてしまうでしょう。
一方、下駄箱の収納力が高いファミリータイプの物件は、高い集客力を有していると言われています。
女性はどうしても靴の数が多いでしょうし、ロングブーツなどを収納することを考えれば、靴を収納するスペースは「多過ぎても困ることはない」はずです。
なお、3DKの間取りなどでは「共用廊下に面した居室」が備えられた物件も多いですが、こうした居室は総じて日当たりが悪く、廊下にエアコンの室外機が置けないなどの事情から、『納戸としてしか使い道がない』と判断されてしまうケースも少なくありません。
このようなご説明すると「窓付けクーラーを付ければよい!」と思われる方もおられるでしょうが、このタイプのクーラーは作動音が異常に煩いものですし、分譲マンションの場合には「規約で取り付けが禁止」という場合もありますので注意が必要です。
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投資物件の間取りまとめ
さてここまで、収益物件の間取りについて解説を行ってまいりました。
投資物件の購入においては、想定利回りや立地、建物の外観などに目を奪われがちですが、物件の間取りの「良し悪し」が入居率に及ぼす影響は非常に大きいものがありますので、これから物件を購入したり、投資物件の建築に取り掛かるのであれば、間取りの特性を十分に理解した上で意思決定を行うべきでしょう。
一度手に入れた収益物件はそう簡単に手放す訳には行きませんから、後悔することのない機能的な間取りの物件を手に入れたいものです。
ではこれにて、投資物件の間取りを大研究する知恵袋を閉じさせていただきます!