不動産投資といえば、物件の購入に大きな資金が必要となり、空室リスクに滞納問題など「様々な負担が圧し掛かるもの」というイメージをお持ちなのではないでしょうか。

確かに不動産業に身を置く立場から言わせていただけば、収益物件の管理には様々な手間が掛かるものですし(管理会社に依頼しても、手放しという訳には行きません)、空室が埋まらない場合やヘヴィな滞納者が現れたケースでは、精神的にもかなりの負担となるものです。

但しその反面、賃料の収益は他の投資対象に比べて非常に安定した収入となりますし、利回りという点から見ても5%~8%といった物件は数多く存在する上、時には10%以上の高利回り物件が登場することだってありますから、先にお話しした様々なリスクを差し引いても大きな魅力があるのは確かでしょう。

このように考えてみると、不動産投資は「高い安定性と利回りを確保できる分、それなりに高いリスクも存在する投資対象」ということになるかと思います。

もちろん投資である以上、チャンスがある反面、リスクもあるのは当然のことですが、実は近年、この不動産投資の在り方に大きな影響を及ぼすトレンドが発生しているのです。

そこで本日は「J-REITとは?わかりやすく解説いたします!」と題して、不動産投資市場の新たなトレンドについてご説明してみたいと思います。

J-REITとは?わかりやすく

 

J-REITって何だろう?

ではまず、このJ-REITという投資対象に関するご説明からお話をスタートさせましょう。

J-REITは、投資法人と呼ばれる会社が不動産投資の対象となる収益物件を運用し、そこから得た利益を募った投資家に対して分配して行くという、投資スキームを指す言葉となります。

実はこの制度、2000年に「投資信託及び投資法人に関する法律」という法律が改正されたことを契機に解禁となった新たな投資手法であり、投資のジャンルとしては不動産信託に分類されるものです。

なお、こうした不動産投資の制度自体は既にアメリカなどで運用されていましたが(これをリートと呼んでいます)、この法改正で誕生した投資形態は「他国のものとはシステムが少々異なるものであった」ため日本版リート、つまりは『J-REIT』と称されることとなったのです。

 

J-REITの仕組み

さて本項では、もう少し詳しくJ-REITの仕組みについて解説を加えてみることにしましょう。

J-REITは別名「不動産の証券化」とも言われる制度であり、運用元の投資法人は複数の収益物件を集合させ、その賃料収益等の利益分配を受ける権利を『証券』として市場で販売しています。

また証券については、各株式市場にて銘柄として売買されていますから、株取引のための口座をお持ちの方ならば誰でも購入・売却が可能です。

ちなみに証券は1口、2口という数えられ方がされ、安いもので1口あたり数万円、高いものなら100万円を超えるものまであります。(2020年現在で約64銘柄)

そして、それぞれの銘柄には利回りが設定されており(3%~8%程度)、決算の度にその時点での利回り相当額が「分配金」として投資家に支払われることになります。(決算のスパンは銘柄によって異なります)

なお証券は株を取引きするように、市場での売買が可能であり、人気が高ければ価格は上昇し、不人気であれば下落していくことになるでしょう。

J-REITのメリットとデメリット

ここまでのお話でJ-REITのおおよそ仕組みはご理解いただけたことと思いますので、本項ではこの投資のメリット・デメリットについてを解説してみたいと思います。

J-REITのメリット

J-REITのメリットとして最初に挙げることができるのは、何と言っても配当の高さと安定性ということになります。

利回りは3%~8%と、一般の不動産投資に比べれば少々低めの設定とはなっていますが、銀行の金利などと比べれば「この水準が非常に高いものである」ことは改めてご説明するまでもありませんよね。

またJ-REITの仕組みの部分でもお話しした通り、複数の収益物件を組み合わせて配当を決定していますから、たとえいくつかの物件で空室が発生しても、不動産投資のように収入(収益)が一気に激減することはありません。

そして株式市場のように外国の政治・経済といった外的な要因によって運用状況に影響が出る可能性は低いですから、これは実に安心感がありますよね。

なお、J-REITの投資銘柄を個別に見ていくと、居住用物件主体・事務所物件主体・商業施設主体など銘柄ごとに組み込まれている物件が異なっていることがわかります。

これは一般の不動産投資でも同様ですが、「運用していく物件に如何なるタイプのものを選択するか」は投資判断を行う上で非常に重要な要素となりますから、銘柄に組み込まれている物件の種類や特徴・戸数など参考に『自分がこれだ!』と思える銘柄を自由に選択できる点もこの投資のセールスポイントと言えるでしょう。

ちなみに、個別の銘柄では「投資対象の良し悪しに判断が付かない」という方に向けては、『ETFと呼ばれる複数の個別銘柄に分散投資を行っているパック商品』も用意されていますから、こちらの購入がおすすめとなります。

J-REITのデメリット

ここまでJ-REITの利点を解説してまいりましたが、もちろん投資である以上リスクも存在しています。

まず一番に挙げられのが、この投資は「元本保証がなされておらず、証券価格の変動が生じる点」と「運用を行っている投資法人が倒産してしまう危険性も内在しているという点」です。

また収益物件の集合体から利益を得ていますから、少々空室が増加する程度のことであればビクともしないでしょうが、

物件に瑕疵が発見され大規模な修繕が必要な場合や、収益物件の購入資金を調達している金融機関の融資において「利上げ」などが行われた場合には、分配金にも大きな影響を及ぼすこととなります。

更には、投資法人は保有物件を日々増加させたり、売却したりしていきますから、こうした取引において損失が出れば「分配金の予想額に変動が生じる可能性がある」でしょう。

なお万が一投資法人が破綻した場合については、銘柄に組み込まれた物件は全て売却され、その売却益が投資家に還元される制度となっていますから余程負債が膨らんでいない限りは、証券が紙切れになる可能性は低いと思われます。

J-REITまとめ

さてここまでJ-REITについて、わかりやすさを重視してご説明をしてまいりました。

詳細な部分に関しては説明を省いた点もありますが、まずは制度の概要をご理解いただきたいと考え、このような解説の形式と致した次第です。

なお補足的なご説明をさせていただけば、物件の運用を行う投資法人は不動産投資のみを行う機能しか持つことを許されず、その収益の90%以上を配当に充てることで賃料収入に課税される法人税を免除されています。

よって、実際に挙げた収益の90%以上は投資家に還元される仕組みですから、「投資法人が得た利益を自分のものとしてしまうのでは?」という心配は不要です。

また、投資法人は投資を専業として行う機関であるため、物件の管理などは外部の企業に委託せざるを得ないというのが実情ですから、管理委託先企業の実力の程も「銘柄の価値を決める重要なファクター」となっています。

このようにJ-REITを分析してみると、「不動産投資の安定性」と「株取引の手軽さ」を上手に組み合わせた投資対象であることがご理解いただけるはずです。

通常の不動産投資には「多額の資金」と「豊富な物件運用ノウハウが必要」となりますが、ここに証券取引の要素を加えることで証券売買価格の変動というリスクは生じてしまうものの、一般の方に対して広く不動産投資に参加する門戸を開く結果をもたらしたと言えるでしょう。

もちろんJ-REITならではのリスクも存在しますが、個人で収益物件を購入するよりは遥かに安全性が確保されていますから、ご興味がある方は是非この投資に参戦してみてください。

ではこれにて、「J-REITとは?わかりやすく解説致します!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。