収益物件を保有する者にとって非常に気掛かりなのが、建物の老朽化に合わせて、下落し続ける物件の集客性に関する問題です。

どのような人気物件でも、年数が経って近隣に新しい物件が増えれば、入居希望者からの問い合わせは減少して行くものですが、これに歯止めを掛けるのが「物件に付加価値を与えるという手法」となります。

そこで本日は、「賃貸物件の付加価値を向上させる運用法をご紹介いたします!」と題して、空室率を低下させ、物件の集客力を維持し続ける方法について考えてみたい思います。

賃貸物件に付加価値

 

投資用物件に付加価値が必要な理由

冒頭でも申し上げた通り、収益物件の運用を行っている方にとって「物件の集客性の低下を如何に食い止めるか?」という問題は、非常に大きなウェイトを占める課題となるはずです。

保有している投資用物件を何もせずに放置していれば、物件はドンドン老朽化していくこととなりますし、周囲では次々と新しい賃貸マンションやアパートが建築されて行くことになるはずですから、これを黙って見過ごせば『物件の価値はドンドン下落していく結果となる』でしょう。

そこで必要になってくるのが、次々に登場してくるライバル物件との差を埋めるための努力となります。

なお、このようなお話をすると「そうは言っても、古くなった物件は賃料を安く貸し出すしか方法がないのでは?」というお声も聞えて来そうですが、決してそのようなことはありません。

私が知るオーナー様の中には、昭和40年代築の非常に古い物件ながらそれ程賃料を下げずに満室経営を実現しておられる方もいらっしゃいます。

そして、こうした人気物件に共通しているのが「物件の付加価値を上手に向上させている」という点なのです。

基本的な付加価値向上の手法

ではまず最初に、賃貸物件の付加価値を向上させるための基本な手法を解説して行きましょう。

物件の管理体制を見直す

建物の付加価値を向上させる際に、最も基本となるのが物件の管理体制を見直すことです。

どんなに設備が充実した新築物件でも、エントランスがゴミだらけだったり、廊下に入居者の荷物が溢れていたのでは、入居希望者から敬遠されてしまうのは確実でしょう。

そして、これが「築年数の古い物件」ともなれば、内見に来たお客様の印象は「非常に悪いものとなってしまう」はずです。

よって築年数が古ければ古い程に、

  • 物件の巡回スパンを密にする
  • 共用部清掃を徹底する
  • 審査を慎重に行い、問題のある入居者を排除する

といった厳しい管理体制を維持していく必要があるでしょう。

建物のメンテナンスを強化

物件の管理体制に続いて重要になってくるのが、物件のメンテナンスを強化していくことです。

築年数が古い物件であっても「定期的な外壁等の塗り替え」が行われていれば『古いが手入れの行き届いた物件』という印象を入居希望者へ与えることができるはずです。

また、現代はSNSなどで入居者が建物の問題点などを気軽に発信できますから、

  • 高圧洗浄を怠っているため下水の流れが悪く、匂いが上がってくる
  • 水道から錆水が出る
  • ネズミや害虫をよく見掛ける
  • 雨漏りしている

といった情報が拡散されれば、入居者募集において大きなダメージを被ることになるでしょう。

そしてこれとは反対に、丁寧にメンテナンス作業を行っていれば「建物の維持管理が行き届いた物件」という印象を拡散してもらえる可能性もありますから、メンテナンスについては決して手を抜いてはならないのです。

建物の設備を充実させる

そして基本編の最後にご紹介するのが、建物の設備を充実させるという手法になります。

なお、一口に建物の設備と言っても

共用部分の設備
  • オートロック
  • 宅配ボックス
  • 防犯カメラ
  • テレビモニター付きインターホン
  • 駐輪場
室内の設備
  • エアコン
  • シーリングライト
  • 食洗器
  • ケーブルTV、4K対応衛星放送の受信設備
  • 使用料無料のインターネット設備

といった共用部と室内の違い、そして設置に法外な費用が発生するものから、わずかな出費で導入できるものまで、その種類は実に様々です。

なお、当然ながらオートロック等の導入に高額な費用が発生するもの程、物件の付加価値向上には大きな効果をもたらしますが、過大な設備投資をして賃貸経営が圧迫されてしまうのでは本末転倒となりますので、

予算が少ない場合には、経費の掛からない小さな設備投資を継続的に行い、その期間中に高額設備の導入資金を貯めていくのが賢い方法となるでしょう。

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付加価値向上の応用テクニック

さてここからは、賃貸物件の付加価値を向上させる手法の中でも、「応用編」と呼べるテクニックをご紹介してまいりましょう。

食堂付きワンルーム賃貸マンション

タイトルをご覧になり「食堂付きって何?」っと思われた方が殆どでしょうが、実はこの手法、私の取引先の不動産業者の社長さんが実践しているものとなります。

実はこの社長さん、元々は飲食畑出身という変わった経歴をの持ち主であり、そのキャリアをフルに活かしたのが「食堂付きワンルーム賃貸マンション」でした。

ある時、この社長さんは事業の一環として「一棟ものマンション」を購入したのですが、2階にある元レストランの空店舗がどんなに募集をかけても埋まらず、遂に自ら経営する食堂をオープンしてしまったのです。

そして「ならば、ついでに」くらいのつもりで、物件の居住者に証明書を配り、入居者については定価の半額で一日一回の食事を提供することにしたといいます。

するとこれが大好評を博すこととなり、現在でこのサービスを始める以前よりも1万円近く値上げした賃料設定でも、空室が埋まるようになったと言うのです。

また、この食堂は一般のお客さんに対してもは高い人気を博しており、飲食店経営と賃貸経営の両方で収益を上げることに成功しています。

ちなみに現在では、「別の一棟もの物件を購入して、カフェ付き賃貸マンションを経営しようと仕入れに勤しんでいる」と話しておられました。

温泉施設の利用優待付き賃貸マンション

続いてご紹介するのが、こちらも私の知人が運営している「温泉施設の利用優待付き賃貸マンション」となります。

こちらの知人、地主系の不動産業者であり天然温泉を売りにしたスーパー銭湯を副業として運営していたのですが、自分が保有する収益物件の入居者に対して、温泉施設の優待券を定期的に配布するサービスを開始したところ、空室率が格段に低下したとのことです。

なお最近になって、風呂なしアパートの大家さんと近隣の銭湯が提携して、銭湯の入浴券が定期的に配布されるサービスを実施したところ、入居希望者が殺到して「空室待ちの状態が続いている」というネットニュースを目にしましたので、私の知人の成功は決して偶発的なものではなさそうです。

もちろん、自分で温泉施設を経営している方など滅多におられないでしょうが、他の企業などとコラボすることでWin-Winのビジネスを展開することも夢ではないでしょう。

※先程の風呂なしアパートの例で言えば、月に数回分の無料券を配ることで「無料券を使い切った後も銭湯への来場が見込める」といった効果が期待できるので、銭湯側にもメリットはあるようです。

賃貸物件単体での魅力が乏しくても、外部施設と連携を図ることで物件の付加価値を向上させた好例なのではないでしょうか。

屋上庭園付き賃貸マンション

さて、こちらも私の関係者が行っている手法となりますが、賃貸マンションの屋上を緑化して「入居者専用の屋上庭園として開放する」というサービスとなります。

通常、賃貸マンションの屋上と言えばソーラーパネルや広告看板の設置などが行われていますが、こちらの方は屋上に土を運び入れて、植樹まで行って「空中庭園」を造ってしまったのです。

なお、通常のFRP防水などの工法では定期的なメンテナンスが必要となるため、屋上緑化には不向きですので、この手法を行う場合には対応年数の長い「屋上緑化専用の工法」にて防水を行う必要があるでしょう。

そして、緑化完了後は屋上を入居者へ開放しているのですが、夏には花火大会が目の前で見える立地にあるため、非常に好評を博しているようです。

更に、休日にはバーベキュー大会などのイベントも開催されるようになり、現在では退去を待たずに空き予定の部屋が埋まる状況となっていると聞きます。

もちろん安全性を確保するために転落防止用の柵などの設置は必須となりますが、こうした試みも非常に面白いのではないかと思います。

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収益物件の付加価値まとめ

ここまで賃貸物件の付加価値の向上をテーマにお話をしてまいりました。

基本編でご紹介した手法については既に実践されている投資家様も多いでしょうが、これを続けていくには非常に大きな労力を要しますので、是非頑張っていただきたいと思います。

一方、応用編でご紹介した手法については「抜群にインパクトがある手法」という共通点が見受けられます。

おそらく全国を探しても「食堂付き」や「屋上庭園付き」といった賃貸物件は数える程しか存在しないでしょうから、一度物件の紹介を受けたお客様の脳裏には強烈な印象が残るはずです。

そして、来店したお客様に物件をご紹介する不動産業者の立場に立ってみると、こうした物件は「お客様の気を引く格好の材料」とすることができますから、率先して情報を流すようになるのは確実でしょう。

こうして考えてみると、一見「奇をてらったように見える応用編の手法」ですが、実は賃貸経営を成功させる要素がしっかりと集約されいることにお気づきいただけるはずです。

物件に付加価値を与えることは、色々な意味で非常に難しい選択を迫られることになりますが、綿密な計算の下に時には大胆な選択をしてみることも重要であるのかもしれません。

ではこれにて、「賃貸物件の付加価値を向上させる運用法をご紹介いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。