「自宅のリフォーム」は長年住み慣れた我が家をお持ちの方にとっても、これから中古物件のご購入をお考えの方にとっても、非常に重要なイベントとなるはずです。

また、賃貸マンションやアパートなどを保有されている不動産投資家におかれましても、効率的な運用を行う上で「収益物件のリフォーム」はとても大切な作業と言えるでしょう。

そこで本日は、「リフォーム業者の選び方について解説いたします!」と題して、失敗しない工事業者の選定方法をご教授させていただきたいと思います。

リフォーム業者の選び方

 

一般的なリフォーム会社選びのポイントを解説

ではまず最初に、基本として押さえておきたいリフォーム会社選びのポイントを解説していきましょう。

リフォーム会社の実績を確認する

リフォーム会社を選ぶ上で、まず最初にチェックしておきたいのが「これまでの仕事の実績」ということになるでしょう。

近年ではホームページなどに施工実績を掲載しているリフォーム会社が増えつつありますが、見積書の作成を依頼する際に「今回検討している工事に類似する施工実績の資料があれば、閲覧したい」と申し出れば、快く応じてくれることでしょう。

また、この際に「同種、同規模以上の現場を年間で何件くらい請け負っているのか」という点についても確認しておき、十分な実績があると判断できる業者に発注を掛けるべきです。

建築業の免許や加入する業界団体をチェック

ご存じの方もおられるかもしれませんが、実はリフォーム業者を開業するのに当たっては、行政から免許を受ける必要もなければ、届出を行う必要もありません。

つまり、これまで釘一本打ったことのない者が、ある日突然リフォーム業者を名乗ることも不可能ではない訳です。

さて、このようなお話をすると「建築業の免許が必要なのでは・・・」と思われるかもしれませんが、実は建築業の免許は工事の請負代金が500万円(一式工事の場合は1500万円)以上の仕事を引き受ける際に必要となるに過ぎず、リフォーム業を行うのに必須の免許ではありません。

但し、免許の取得は容易ではないため、他のリフォーム業者との差別化を図る意味で建築業の免許を保有している会社もありますから、こうした業者を選択するのは優良業者を選別するための一つの方法と言えるでしょう。

なお、建築業の免許以外にも、建築士や建築施工管理技士と言った他の国家資格、あるいは増改築相談員、リフォーム提案士等の民間資格を有しているか否かも、業者の質を見極める有効な手段となるはずです。

ちなみに、リフォーム会社が加盟している業界団体をチェックすることも忘れてはなりません。

ここまでお話ししてきたように、開業に際して特に規制のないリフォーム業界では、悪質業者との差別化を図るために数々の業界団体が結成されており、これらの団体の中には加盟業者に技術講習等への参加を義務付けているところもありますので、所属する業界団体の確認は必ず行っておきましょう。

見積書の内容を確認

依頼を行うリフォーム業者の候補がある程度絞り込めたなら、その内の何社かに見積もりの作成を依頼して、提案される工事の内容と価格を比較してみることになるでしょう。(相見積もりの作成)

そして見積書が出揃ったら、その内容をじっくりと精査していきます。

まず注目すべきは、見積書がどれだけ詳細に作成されているかという点です。

同じ工事の見積書でも、材料の数から廃材の処分費まで内訳を細かく記載してくる業者もいれば、「工事一式」とのみ書いてくる大雑把な会社まで存在しますが、選ぶべきは「詳細な見積書を提出してくるリフォーム業者」となるでしょう。

また、どんなに細かい見積書でも素人には分かららない内容が必ず含まれているものですから、不明点があれば納得できるまで質問し、こうした消費者の疑問にどれだけ業者が真摯な対応を行なっているかを確認する作業も非常に重要です。

なお、最終的な絞り込みにおいては見積りの価格が重要となってきますが、ここで大事なのは『極端に安価な業者に発注を行わない』ということでしょう。

良い工事を行うにはそれなりのコストが掛かるのは当たり前のことですから、平均的な価格を提示している業者の中から発注する業者を決定するべきです。

担当者の対応をチェック

見積書に続いては、リフォーム業者の担当者をチェックしていきましょう。

既にこの段階では見積書の内容について質問するなどして、担当者と何度か話をしているはずですが、

  • 質問した内容に的確な返事が返って来ない
  • こちらの要望が上手く相手に伝わらない
  • 話の内容が大雑把で、詳細な打ち合わせが出来ていない

といった兆候が見られるようなら、こうした業者への発注は再検討するべきです。

このようなお話をすると「担当者の対応のみで会社を判断してしまうの?」というご意見も聞こえて来そうですが、工事はあくまでも現場主義ですからユーザーの声を職人さんに伝える担当者のスペックが低ければ、リフォームが成功する確率は非常に低くなるのが現実です。

そして、こうした状況を最も理解しているはずのリフォーム会社が問題のある担当者を放置している段階で、既に発注を行う価値のない業者と言えるでしょう。

地域密着型の企業を選ぶ

近年では全国規模で展開する大手リフォーム業者も増えていますし、ネットやSNSの普及により遠隔地の工事も請け負うという会社も少なくありません。

しかしながら、リフォーム会社の選定に当たっては可能な限り地元の業者、地域に密着した企業に狙いを絞るのが得策です。

地元企業は地域での評判が経営の命綱となりますから、手抜き工事などを行なって悪い噂が立つことを何よりも嫌います。

また、施工後に不具合が生じた場合も迅速な対応が可能となりますし、周辺地域に多くのユーザーがいれば不当に高額な工事費用の請求もできないでしょうから、依頼を行うリフォーム会社は地域に密着した企業を選択するべきです。

アフターサービスが充実している

リフォーム会社を選択する上では、「工事完了後のアフターサービス」について確認を行っておくことも非常に重要です。

リフォーム工事に欠陥があった場合、施工業者は「契約不適合責任」という法的な責任を負うことになり、民法においては欠陥を発見してから1年間は修理依頼や損害賠償請求が可能であると定められてはいるものの、業者と施主の間で特別な取り決めを行った場合には『責任を負う期間を自由に変更できる』のがルールです。

※施主が個人である場合には消費者保護法により「契約不適合責任を負わない」という特約は無効となります。

よって、発注に際して請負契約を締結する際には「どれくらいの期間、業者が契約不適合責任を負うのか」をしっかりと確認しておくことが重要です。

ちなみに、簡単な内装工事のみの場合などには請負契約書を取り交わさないケースもあるでしょうが、請負契約自体は口頭でも成立しますので、工事に問題があれば遠慮なく苦情を入れましょう。(特に取り決めがない場合、業者が契約不適合責任を負う期間は発見から1年となります)

リフォーム業者の種類も様々

さてここまで、一般的なリフォーム業者の選び方について解説してまいりましたので、ここからは管理人が不動産業を営む中で培ってきた、業者の選定方法をお話ししていきましょう。

既にご存じの方も多いかも知れませんが、一口にリフォーム業者といっても実に様々な業態の会社が存在しているものです。

そこでまずは、各々のリフォーム会社のタイプと特性についてお話をしてみたいと思います。

大工仕事メインのリフォーム屋さん

本業は大工さんなのですが、リフォーム会社としても営業しているタイプの業者となります。

最近ではハウスメーカーの力が強いため、新築工事の仕事が取れない大工さんが、リフォームを仕事のメインに据えているというケースも少なくありません。

もちろん個々の業者によって工事技術のクオリティーにはバラ付きがありますが、本業の木工事(床の張り替えや、屋根の補修など)に関しては、自分で全ての施工が可能であるため、料金も割安にすることができるはずです。

但し、クロスの張り替えやルームクリーニングなどは下請け会社に依頼するため、これらの施工については割高になる傾向があります。

なお大工さんというポジション上、現場管理のスキルが高い人が多いため総合力では他の業者よりも一歩リードする存在と言えるでしょう。

内装メインのリフォーム屋さん

クロス職人やルームクリーニング屋さんが運営するリフォーム業者の業態となります。

大工さんと同じで、自分の本職の仕事では低価格で質の良い仕事をすることが多いでしょう。

但し、フローリングの張り替えなどの木工事が入ると、本職の大工さんの力を借りねばならないため、非常に割高になるケースもありますし、建築全体への知識不足から想定外の施工ミスが起こる可能性もあります。

本業とする工事(クロスの張替えやルームクリーニング)がメインの現場では、コスト・質共に最高のパフォーマンスを期待できる業者さんですから、重要なのは「使い方」ということになるでしょう。

大手リフォームメーカー

テレビCMなどを行っている、大手リフォームメーカーとなります。

会社の規模が大きいですから、企業によっては内装、木工事から、水道、電気まで、自社対応も可能となるのですが、総じて工事費用は高めに設定されているのが特徴となります。

なお、現場の管理能力もそれなりに高いとは思われますので、「良かろう・高かろう」の安全パイを目指す方にはおすすめの業者さんとなるでしょう。

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どのタイプのリフォーム業者を選択するべきか

このように一口で「リフォーム業者」といっても、様々なタイプの会社が存在する訳ですが、問題は「この中でどの業者に依頼を掛けるべきなのか?」ということになるでしょう。

まず言えることは、その会社が本業としている仕事については、どの業者もそれなりに良い仕事をするという点です。

そして、プロである不動産屋さんなどはこのポイントに着目して、木工事は大工、壁紙はクロス職人、掃除はクリーニング屋といった分離発注を行い、コストの削減と質の高いリフォーム工事を実現してます。

但しこの方法、工事業者同士の連携を取ることが難しく、工事に入る日がバッティングしてしまい、「結局一方の業者の施工できない」などのトラブルが多く発生してしまうため、現場の管理に慣れていない一般の方にはおすすめできない方法とも言えるでしょう。

そこで皆さんにおすすめしたいのが、大工さんメインのリフォーム業者を使うことです。

このタイプのリフォーム業者ですと、大手リフォーム会社よりも値段は安めの設定となるはずですし、価格交渉もある程度は可能なケースが多いでしょう。

また、建物全体に関する知識が豊富な上、立場上、他の業者の手配や現場監督としてのスキルも高い(一戸建ての新築工事では、大工さんが施工管理を行うケースも多いため)ですから、無駄と失敗のない工事を行える可能性が高いのです。

但し、この方法ですとコストは少々高めになってしまいますので、どうしても費用を抑えたいという方は「壁紙の施工とルームクリーニングだけは内装メインのリフォーム屋さん」、「その他の工事は全て大工さんメインのリフォーム業者」という、限定的な分離発注を行うのも一つの方法であるかと思います。

如何に腕の良い業者を見つけ出すか

さて、発注するリフォーム業者のタイプが決まれば、次に気になるのが「如何に腕の良い業者さんを見付けるか」という点になるでしょう。

今の時代、ネットで検索すればいくらでもリフォーム業者を見付けることができますが、そのスキルまでは測りきれませんよね。

一番確実なのは「信頼のおける方からの紹介してもらう」こととなりますが、冒頭でもお話した通り、一般の方ではこれも難しいかと思われます。

そこでお勧めなのが、家の近所を歩いている際などに発見したリフォーム工事や新築工事の現場にいる職人に話し掛けてみる方法となります。

他の現場での仕事ぶりを見れば、素人でも「真面目に仕事をしているか」という程度の判断は付くでしょうし、相手の人間性も垣間見えて来るものです。

また、こうした行動を複数の現場で繰り返していれば、仕事の進め方の違いや、道具の整理整頓の行き届き方など、職人としてのスキルの違いにも目端が利いて来るようになるのです。

こんなお話をすると「仕事中の職人さんに声を掛けて怒られない?」なんて思われるかもしれませんが、リフォーム屋さんの多くは近隣住人にとても気を遣うものですし、他の現場で新しい顧客と知り合うことは珍しいことではありませんので、仕事中に話し掛けても無下にされることはまずありません。

そして、こうしたアクションを繰り返していれば、「いつの間にか腕の良い職人さんとのリレーションができ上がっている」という結果に繋がって行くのです。

信頼の置けるリフォーム業者を見付け出すもう一つの方法

前項では、自力で腕の良いリフォーム業者の見つけ方をご紹介いたしましたが、「知らない職人さんに突然声を掛けるなんて、とても無理!」という方もおられることでしょう。

そこで、もう一つの方法としてご提案したいのが地元の不動産屋さんにリフォーム業者を紹介してもらうという方法です。

不動産屋さんといえば土地や建物の売買に、アパートなどの管理が仕事というイメージがあるでしょうが、不動産業者とリフォーム業者との係わりは非常に深いものとなります。

たとえば中古住宅を売買するにしても、物件の購入者にリフォーム業者を紹介することはよくあることですし、賃貸物件の管理においても、退去の度にリフォーム会社へ発注を掛けることになるのです。

よって、不動産屋さんに声を掛ければ「信頼と実績がある上に、価格的にも安心感のあるリフォーム業者」を紹介してもらえる可能性が非常に高いでしょう。

更に地域に密着している不動産屋業者となれば、「あの不動産屋さんに紹介してもらったリフォーム業者に頼んだら、酷い目に遭った」なんて噂を立てられては堪りませんから、なお更に『信頼の置ける業者さん』を紹介してくれるはずです。

但し、ここで一点要注意なのが「不動産屋さんにリフォーム業者を紹介してもらった場合、ほぼ確実にバックマージンが価格に付加されている」という点となるでしょう。

このようなお話を聞くと「何やらお金がもったいない」ような気もしてきますが、インターネットなどで自力でリフォーム会社を探し出すのに比べれば『遥かに安全で効率的な業者の選定』ができますから、ここは費用を惜しむべきところではないように思います。

また、工事の際にリフォーム業者へ「次回からは直接発注してよい?」と尋ねれば、快諾してもらえるケースも多いですし、

リフォーム業者が返答に困っているようなら『紹介を受けた不動産会社さんへ直接、次回からの直発注を交渉する』という方法もあるでしょう。(普段からお付き合いのある大家さんなどの場合には、不動産屋さんも断りきれないものです)

腕は良くても注意すべき点も

そして最後に解説するのが、たとえどんなに腕が良く、信頼の置けるリフォーム業者であっても「注意すべき点」のお話となります。

「リフォーム屋さんの種類も様々」の項でも申し上げた通り、リフォーム業者の多くは『本来、自分が得意とする仕事の分野』を持っているものです。

ただ、長年リフォームの仕事をしていると、外注に出している仕事(水道や電気、ガスなどの工事)についても、ある程度の知識を身に付けてしまいます。

もちろん、こうしてリフォーム業者がスキルアップをしてくれるのは、発注者としてもありがたいことなのですが、水道・電気・ガスなどの工事は非常に専門性が高く、施工に資格が必要なケースも少なくありません。

ただ、普段から専門業者の仕事ぶりを見ているリフォーム業者の立場からすると「専門的な工事も自分でやれるかも」と思い始めてしまうことが非常に多いのです。

リフォーム業者としても下請けに仕事を出さず、自分で全ての作業ができるなら、「工事費用を安く上げることが可能となり、発注者にも喜んでもらえる」という善意からこうした工事に手を出すことが多いのですが、これらの工事を中途半端な知識で行うと『取り返しのつかない事故』に繋がることも少なくありません。

よって、電気工事やガス工事を全て自力でこなしてしまう業者さんである場合には、工事に必要な資格を持っているかを必ず確認し、資格を有していない場合には、専門業者に依頼するように指示を出すべきです。

※例えば、内装を専門とする業者が木工事などを行うケースでは、当然ながら資格は不要となりますが、スキル不足の場合には施工ミスに繋がる可能性もありますので、これまでの実績などを充分に確認した上で作業に着手させる必要があるでしょう。

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リフォーム業者の選び方まとめ

さてここまで、リフォーム業者の選び方などについて解説をしてまいりました。

改めてお話しして来た内容を整理してみますと、一般の方に最もお勧めなリフォーム会社の業態は「大工を本業とするリフォーム業者」ということになります。

但しこれには、木工事にクロスの張り替えなど「総合的な工事の内容が含まれる仕事をお願いする場合には」という前提が付きますから、単に壁紙の張り替えや、ルームクリーニングということであれば、内装業をメインとするリフォーム会社の方が、安価で良い仕事をしてくれるはずです。

また、「工事の価格にはあまりこだわりを持たず、お任せで質の高い工事をして欲しい」というのであれば、大手のリフォーム屋さんに任せるのがベストな方法ということになるでしょう。

つまり、リフォーム業者の選定においては「工事内容に応じて、如何に上手く依頼する業者のタイプを選択できるか」が成功への鍵ということになるのです。

なお、冒頭の「一般的なリフォーム会社選びのポイントを解説」でお話しした業者の選別方法と、「如何に腕の良い業者を見つけ出すか」「信頼の置けるリフォーム業者を見付け出すもう一つの方法」の項でご紹介した手法を組み合わせれば悪徳業者を回避することも容易なはずですから、こちらも是非お試しいただければと思います。

ではこれにて、「リフォーム業者の選び方について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。