マイホーム購入に際しては「駅からの距離」や「周辺の住環境」などチェックすべき点が数多く存在しており、本ブログではこれまでも、マイホームの周辺環境に係る嫌悪施設に関する記事などをお届けしてまいりました。

但し、購入を希望する物件の周りを改めて見渡してみると、駐車場の出入りの障害となる「街路樹」や「道路標識」など、気になる道路上の施設の存在に気づかされることもあるはずです。

そこで本日は「街路樹の撤去や道路標識の移動について解説いたします!」題して、道路上に設置されている厄介な施設の取り扱いについてお話しさせていただきます。

歩道切り下げ

 

道路上には様々な施設が存在する!

冒頭にて「マイホームの周辺には時として厄介ごとを招く施設がある」とのご説明を致しましたが、『今一つピンッと来ない』という方も多いことと思いますので、まずは今回の記事でターゲットとなる「道路上の施設」についてご説明していきましょう。

普段、何げなく街中を歩いていると殆ど気にならないでしょうが、道路上には実に様々な施設が設置されているもです。

なお、具体的な例を挙げるとすれば、

  • 道路よりも一段高くなった歩道
  • ガードレール
  • 電柱
  • 道路標識
  • 信号
  • ゴミ捨て場
  • 町内会の看板

など、その枚挙には暇がありません。

もちろん、これら一つ一つが私たちの生活に欠かせないものであることは間違いありませんが、購入したマイホームの目の前に電柱やゴミ捨て場があるのは非常に気になるものですし、

注文住宅を建てるために土地を購入したのは良いが「設計上どうしても街路樹の前に車庫を作る必要がある・・・」などという場合には思わず頭を悩ませてしまいますよね。

また、こうした問題が発生して「移設などの相談をしよう」と思っても、『一体何処に連絡して良いものか』もわからないケースが殆どとなるはずです。

そこで次項では、施設ごとの相談窓口や発生し得る問題、その対処法などについてご説明してまいります。

各施設の移動や撤去について

では早速、道路上に存在する施設について解説をして行きましょう。

街路樹の撤去

道路沿いに植えられている街路樹は地域の景観を良好にするばかりか、火災発生時の延焼を防ぐなど非常に重要な施設となっていますが、移設や撤去を検討する場合には非常に厄介な代物となります。

まず植物であるが故に移設を行うことは困難であり、できることは撤去(伐採・抜根)という選択肢しかないのが現実です。

また、街路樹は自治体等が管理するものとなりますから、伐採や伐根はもちろん、枝を切る(剪定をする)のにも許可が必要となり、勝手にこれを行った場合には器物損壊罪などに問われる可能性もあります。

よって、マイホーム建築に当たって駐車場の出入り口を確保するのであれば、まずは

自治体等の道路管理者との事前協議が必要

となるでしょう。

なお、伐根となれば二度とは元に戻りませんから、自治体側も正当な理由がなければ許可は下ろしませんし、対象が桜並木の場合などには住人から反対運動が起こり、近隣への説明会の開催を余儀なくされる場合もあるのです。

そして伐採の許可が下りたとしても申請者負担での工事(自費工事)となることは確実ですし、邪魔にならない場所に新たな樹木を植樹しなければならないケースもあるでしょう。

※街路樹の伐採、伐根等については自治体ごとに異なる許可基準が設けられています。

ちなみにここで気になるのが街路樹を撤去する場合の費用であり、一般的な相場としては

  • 伐採・伐根、樹木の処理費用/3~20万円(木のサイズによる)
  • 重機が必要な場合は上記に加えて/3~10万円(必要な重機の種類による)

と言われていますが、樹木の種類や植えられている場所によっても費用が異なってくるため必ず事前に見積もりを取っておくべきでしょう。

交通標識や信号の移設

街路樹に続いてお届けするのが信号機や交通標識の移設に関する解説となり、こちらも玄関や車庫の前に設置されている場合には実に不便を感じるものです。

なお、信号機や道路標識を管理しているのは

警察(公安委員会)であることが殆どですが、標識の場合には街路樹と同じく自治体が管理者となっているケースもある

ので注意が必要でしょう。

よって、まずは警察に連絡して対象物の管理者を特定することが重要となりますが、標識等の移設は後述する「電柱の移設」などと比べて少々ハードルの高いものになるでしょう。

そもそも信号や交通標識は「事故を未然に防ぎ人々の安全を守るため」に設置されていますから、

如何に目立ち、見やすい場所に設置してあるかが要点

となります。

よって見晴らしの良い場所であれば、多少位置を変更しても影響はないでしょうが、電柱や商店の看板などが多い地域では『僅かな移動で標識の意味がなくなってしまう可能性もある』のです。

こうした事情から、警察も容易には許可を下ろしませんし、そもそも移設が不能というケースが少なくないのが現実でしょう。

更に、仮に許可されたとしても移設の工事費用は申請者が負担する(自費工事)ことになる点にもご注意ください。

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歩道の切り下げ等

幹線道路など車通りの激しい道沿いを歩いている際に「非常に心強い」のが、車道よりも一段高くなった歩道となりますが、こうした歩道に面した物件を購入した際には『駐車場の自動車の出入り』について少々頭を悩ませることになります。

当然、これらの歩道は車道よりも高くなっているため、駐車場を作ったとしてもそのまま自動車の出し入れをする訳には行きませんよね。

ちなみに街中では、こうした段差に対処するためにホームセンター等で売られている「段差プレート(段差をスロープにするためのプレート)」を置いているお宅を目に致しますが、こちらは原則として『法令違反』となってしまう可能性が高いでしょう。

公道の道路管理者は地方自治体となっていますから、無断で物品を置くことは法律で禁じられていますし、万が一自転車などがこれに引っ掛かって事故を起こした場合には「設置者がその責任を追及されるケースもある」のです。

よって、こうした段差の解消には「歩道の切り下げ工事」と呼ばれる作業が必要となります。(歩道の高さを下げる工事)

但し、先程も申し上げた通り「勝手に工事を行う訳には行きません」から、まずは道路管理者(県や市など自治体が設置する道路局など)へ工事許可の申請を行わなければなりません。

なお申請に当たっては、自治体等の担当職員と相談の上で「どの範囲で切り下げを行うか」を協議することになりますが、

条例などで一定のルール(許可基準)が定められているため自由な工事を行うことはできず、自動車の出入りに必要な最小限の範囲しか許可が下りないことも多いですし、交差点の直ぐ近くなどでは『希望の位置での切り下げが許可されない可能性もある』

という点にご注意ください。

ちなみに工事費については「申立人の負担」が原則であり、費用については工事範囲にもよりますが車一台が出入りできる幅で50万円~100万円程度が相場となります。

なお、施工費用にかなりの幅があるのは「工事を行う道路の舗装の種類(アスファルトの厚み等)によって工事費用が変わって来るため」となりますから、施工前にしっかりと見積もりを取っておく必要があるでしょう。

電柱の移設

さて続いてご紹介するのが、道路上に敷設されている電柱に関する問題となります。

こちらも私たちに生活に欠かせない大切な施設ではありますが、歩道と同じく車庫や玄関前に電柱があれば「これは非常に邪魔」なものです。

また、当然ながら電柱には電線が通っていますから

完全撤去は不可能であり、邪魔にならない場所へ移設するという方法で対処する

ことになるでしょう。

まず移設に関する相談窓口ですが、こちは電柱の種類によって変わって来ます。

実は見た目は殆ど同じように見える電柱ですが、その管理者には電力会社やNTTなど幾つかのパターンが存在しているのです。

そして管理者を見分けるには「電柱に表示されている認識票」を確認するしかありませんが、時には「●●電力・NTT」とダブルで表示されていることもあります。

これは電力会社の電柱をNTTが借りているか、その逆のパターンの時に見られる表示ですから、どちらかに問い合わせを行い『真の管理者』を特定してください。

そして電柱の管理者が判明すれば、後は移設の相談ということになりますが、ここでも注意すべき点があります。

まず電柱の移転先についてですが、

原則として「自分の敷地が接している前面道路部分」がその範囲となる

でしょう。(他人の土地の前に移設することはできない)

もちろん、お隣の方が「自分の敷地の前の道路に電柱を移設して良いよ」と言ってくれるのならば、これも「あり」なのでしょうが、そこまで心の広い隣人は滅多にいるものではありません。

また、電柱と電柱のスパンはしっかりと計算がなされた上で設計されているものですから、「敷地の前ならば好きな場所に移動できる」というものでもないのです。

更に電柱の移設費用を負担させられるケース(10万円~20万円程度)も少なくありませんから、予算もしっかり組んだ上で移設の相談に臨むべきでしょう。

ゴミ捨て場の移設

マイホームを購入する際などに特に注意が必要なのが、ゴミ捨て場の問題となります。

日曜日に物件を見に行った際には道路上に何も無かったはずなのに、平日に行ってみると「物件の目の前がゴミ捨て場であった」などというお話はよく耳にするものです。

当然、仲介に入る不動産業者からは購入前に説明があるでしょうが、「玄関から離れた位置なので気にならない」と気軽にこれをスルーしてしまうと、後々「近所の人間のごみ捨てのマナーが悪過ぎる」「生ごみに臭いの酷さに我慢ならない」など頭の痛い問題を抱えることにもなりかねません。

なお、こうした状況となれば「ゴミ捨て場の位置をどうにか変更できないか?」ということになるかと思いますが、ゴミ捨て場の位置を管理しているのは町内会などの自治会組織となります。

よって町内会長などに相談することで位置の変更が可能となりますが、施設が施設だけにその移動には様々な点で気を遣う必要があるでしょう。

当然、他人の敷地の前の道路上にゴミ捨て場を移すということになれば、

移設する側の土地所有者からの承諾が得られないでしょうし、自分の敷地沿いで位置をズラすだけでもお隣から「自分の家にゴミ捨て場を寄せるな」などというクレームが入るケースもある

ものです。

法律上は、自分の敷地の前であれば文句を言われる筋合いはありませんが、これから生活をして行くマイホームで近隣と揉め事を起こすのは避けたいところですから、ゴミ捨て場の位置については充分に注意を払っておく必要があるでしょう。

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街路樹の撤去や道路標識の移動について解説まとめ

さてここまで、街路樹の撤去や標識の移動などついて解説してまいりました。

冒頭でもお話しした通り、マイホームの購入に当たっては周辺環境をじっくりと吟味することが必要ですが、その際に見落としがちなのがこれらの「道路上の施設」となりますから、購入の意思決定に際しては充分にご注意いただきたいところです。

特にゴミ捨て場や街路樹に関しては、「こんなことになるなら、この物件を買わなければよかった・・・」というレベルの後悔の念を抱くことにもなりかねませんから、下見の時からしっかりとチェックしておきましょう。

ではこれにて、「街路樹の撤去や道路標識の移動について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。