自宅でくつろいでいる際に、非常に気になるのが外部からの視線の問題です。

「お風呂上りに下着で歩いていたら、隣家の窓に人影が・・・」といった事態は、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

そこで本日は「窓の視線対策をご紹介いたします!」と題して、プライバシーをしっかりと守りながらも、お部屋の明るさを維持できるおすすめの『窓の目隠しテクニック』をご紹介していきたいと思います。

窓視線対策

 

窓の目隠しを巡る諸問題

ではまず最初に、窓の視線対策を巡る諸問題について考えていきたいと思います。

窓の位置についての法律問答

冒頭でもお話しした通り、窓を介しての隣家からの視線は非常に気になるものですが、こうした問題について法律はどのような考え方をしているのでしょうか。

実は「民法」においては

境界線から1m未満の距離に他人の宅地を見通すことのできる窓やベランダを設ける者は、目隠しを付けなければならない

と定められています。

つまり、お隣との境界線から1m未満の位置に建物が建っており、その家からお隣の家の中を覗ける状態にある場合には、法律上の目隠しの設置義務が生じることになる訳です。

なお、以下では「民法の目隠しルール」をもう少し詳しく解説しておきましょう。

民法の目隠しルールのポイント
  • 境界線と窓の距離は「垂直線」で判定される(窓の正面位置にある境界線までの距離)
  • 宅地(住居)にのみ適用されるルールであり、店舗、事務所などは該当しない
  • 「目隠し」は見えないことが条件なので、カーテンや曇りガラスは認められない(稼働するものは不可)
  • 人が覗けない、高い位置の「飾り窓」などは対象外

このように民法においては「窓の位置」などについて一定の基準を設けてはいますが、その裏を返せば、

このルールさえ守れば何処に窓を設置しても問題はない

という状態になってしまっているのです。

*境界線より1m以上の距離に窓がある場合でも、あまりに室内が見える場合(受忍限度を超える場合)には目隠しの設置が認められることもありますが、こうした判断が下されることは滅多にないでしょう。

近年急増する視線を巡る問題

こうした法律的な背景を抱える「視線の問題」ですが、近年はこうした窓の位置等を巡るトラブルが急増しつつあります。

実は住宅街で建物を建てる際には、

原則として彩光は南側から取り入れ、北側の窓は最小限、または曇りガラスにするという暗黙のルール(不文律)

が存在していました。

このようなお話をすると「そんなものが存在するのか?」というお声も聞こえて来そうですが、そう思われた方は是非南側から北側の街並みを眺めてみていただきたいと思います。

そうすれば、北側にバルコニーがある家は殆ど存在せず、窓があっても曇りガラス(擦りガラス)になっているお宅が圧倒的に多いことにお気付きいただけるでしょう。

しかしながら現在、こうしたルールに基づいた街並みに急激な変化が発生しつつあります。

近年の地価高騰は建売業者が分譲する新築戸建てを急増させ、こうした物件では少しでも多くの利益を得るために通常ではあり得ない「土地の区割り」や「間取り」が採用されることとなり、本来であれば避けるべきである『北側に窓やバルコニーを設けた物件』が登場し始めたのです。

そして当然、古くから建物を保有しているお宅の窓は南側を向いていますから、北側に窓を作られては「視線がバッティングしてしまう」ことになり、苦情を申し立てるのですが、利益を優先する建売業者は

法律(民法の1m未満ルール)を守っているのだから、文句を言われる筋合いはない!

と、これを突っぱねてしまうのです。

これでは建売住宅を購入する方と、周辺に古くから住まう方の関係が上手くいくはずもありませんよね。

もちろん、こうした問題は古くから存在しましたが、昔ながらの建売屋さんは物件購入者の立場を考えて「北側の窓を曇りガラスにする」などの対策を講じて来ましたが、近年の大手戸建て分譲業者にはこうした配慮を行うつもりは一切ないようです。

窓の視線対策の方法をご紹介

こうした「法律では解決できない窓の視線問題」が勃発すれば、残された道は『物理的に如何に上手く目隠しを設置していくか』ということになってきます。

但し、後から建物が建ったのに「古くから住む者が目隠しをする」というのは実に納得がいきませんから、少しでもお部屋の明るさを保ちつつ、おしゃれな対策を行いたいところですよね。

そこでここからは、本ブログの管理人である私がこれまで実践してきた「おすすめの視線対策法」をご紹介していきたいと思います。

カーテンによる対策

さて、視線対策の基本とも言えるのがカーテンによる対策となります。

夜間はカーテンを閉めてしまえば外部からの視線は遮断できますし、昼間はレースカーテンを使用することで明かりを取り入れながらプライバシーを守ることができますが、実はレースカーテンには

  • 遮像レースカーテン
  • ミラーレースカーテン

という2種類が存在しています。

遮像レースカーテンは、カーテン自体が視線を遮る設計となっているため昼夜を問わずプライバシーを守ってくれますが、それだけに太陽の光を遮る効果も強い上に、外の景色も見え辛くなってしまうという弱点があります。

これに対してミラーレースカーテンは光の反射を利用して、室内を見え辛くする構造のカーテンであるという点が特徴です。

よって、室内側からはある程度外の景色を楽しむことができる上、外部からは見え辛い状態となります。

但し、ミラーレースカーテンには曇った日や日没後は「逆に外部からお部屋の内部が見えやすくなる」という弱点がありますので、この点にはご注意ください。

ちなみに、これはカーテン全般に言えることですが「カーテンは横にスライドする仕組みである」ため、窓全体の横半分を目隠ししたい場合などに有効な視線対策となるでしょう。

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室内ロールカーテン

カーテンが横向きの視線対策に適しているのであれば、縦向きの視線対策に威力を発揮するのがロールカーテンとなります。

ロールカーテンであれば『窓の上から半分だけを目隠しする』といった使い方ができる上に、「遮像レースタイプ」や「ミラーレースタイプ」など様々な種類の商品が販売されている点も魅力の一つに挙げられるでしょう。

また、近年では2枚のロールカーテンがセットになった商品も販売されておりますので、カーテンのようにレースタイプと遮光タイプを組み合わせて使用することも可能です。

但し、日中の視線対策としてはレースカーテンと同様に「遮像レースタイプ」と「ミラーレースタイプ」でそれぞれメリット・デメリットが存在します。

屋外ロールカーテン

さて、続いてご紹介する目隠しの手法は「屋外ロールカーテン」を用いたものとなります。

あまり馴染みのない商品であるかもしれませんが、その名の通り「窓の外に設置する屋外用ロールカーテン」となっており、現在新たな目隠しの方法として注目され始めた器具です。

このようなお話をすると「どうしてわざわざ屋外にロールカーテンを設置する必要があるの?」と思われるかもしれませんが、屋外設置の場合は『必ずしも窓の近くに配置する必要がない』という利点があります。

例えば窓から1m離れたバルコニーの天井に屋外ロールカーテンを設置すれば、正面からの視線を遮ることができる上に、ロールカーテンの脇からは太陽の光が室内に差し込むことになりますから、採光という意味では非常に優れた手法となるのです。

但し、風が強い時にはロールカーテンがめくり上がることになりますし、カビ対策に定期的に広げて乾燥させる必要があるでしょう。

生垣の設置、植樹

古来より伝わる伝統的な目隠しの手法が生垣や植樹など、植物を用いた目隠しの方法となります。

バルコニーの目隠しであれば、窓の前に鉢植えを並べれば済みますし、庭がある1階の窓であれば生垣がおすすめでしょう。

また、隣家の2、3階からの視線が気になる場合には、気になる窓の前に植樹を行ってしまうという方法もあります。

植樹というと大げさな気も致しますが、ユーカリの木などは1mくらいの苗木を植えておけば3年で10m以上に成長する上、落ち葉は少なく、害虫にも強いですから、かなり有効な目隠し方法と言えるでしょう。

但し、植物を利用する場合は「手入れ」が不可欠となりますから、定期的に水やりや追肥、選定などを行わねばなりません。

ちなみに、生垣などの場合は隣家から「日照権を侵害している」などと言われる可能性がありますが、判例などを見ても『日照権が認めらるケースは滅多にない』のが現実ですから、明らかに太陽光を遮らない限りはあまり問題にならないはずです。

オーニング

こちらもあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、「路面店のカフェなどに設置されている可動式のタープ」と言えばイメージできる方も多いのではなでしょうか。

こちらのオーニング、普段は折りたたまれた状態となっていますが、ボタン一つで長さ2m以上の屋根を展開できる上、その先端にロールカーテンを設置することもできます。(手動式のものもあります)

そして屋根の部分のタープを取り外してしまえば、正面からの視線はカットしつつ、窓の前に遮蔽物のない空間を展開できますから、その解放感は抜群と言えるでしょう。

なお、設置にかなりの費用が掛かる上、風が強い時にはロールカーテンがめくれ上がるという点が弱点ですが、快適さという意味では群を抜いていると思われます。

ガラスフィルム

ガラスフィルムは非常にオーソドックスな視線対策となりますが、実は非常に奥が深い手法となります。

そして、ガラスフィルムで目隠しを行う場合には

  • ミラータイプ
  • 遮像タイプ

のどちらかを選択することになるでしょう。

ミラータイプは「マジックミラー」の原理を応用したもので、外側からは鏡のように見えるが、内側からは外の景色が楽しめるという商品になります。

これに対して遮像タイプは曇りガラスのように「目隠しの模様(プリント)」によって視線をカットする仕組みです。

さて、一見すると「ミラータイプの方が高い解放感を得られる」ように思えますが、ここで重要になってくるのが透過率の問題です。

ガラスフィルムには原則として透過率という「フィルムを通過した際の光の減衰量を示す0~100の数値」が記されており、この数値が高い程、多くの光を通すことを表しています。

なお、ミラータイプについては品質が高いものでも「透過率40程度」が上限となりますので、お部屋の中がかなり暗くなってしまうのです。

これに対して遮像タイプでは「透過率90」という製品も存在しますので、明るさという意味では遮像タイプに軍配が上がりそうです。(但し、景色は楽しめません)

また、ガラスフィルム選びにおいては「内貼り用」と「外貼り用」の使い分けも重要となります。

その名の通り、屋外からガラスに貼るタイプと、室内から貼り付けるタイプの違いになりますが、商品数としては圧倒的に「内貼り用」が多いのが特徴です。

更に防犯フィルムは内貼り用しか製造されていない上に、フィルムの重ね貼りは推奨されていませんので、既に防犯フィルムを施工済みのお宅では「選べる目隠しフィルムが極端に制限される(外貼り用しか選べない)」ことになります。

*重ね貼りはメーカーが推奨していないものの、施工を行ってくれる業者は存在します。

ちなみに、「窓全体にフィルムを貼りたくない」という場合には部分貼り(上下を空けて、窓の中央のみにフィルムを貼る)ことも可能ですし、

ガラスフィルムの中には会議室などで用いられる「グラデーションタイプ(透明から徐々に目隠しになるデザイン)」の商品もありますので、これらを利用すれば『必要な部分のみの目隠し』が可能となり、より効率的に日照を確保することができるのでしょう。

瞬間調光ガラス

そして最後にご紹介するのが、スイッチ一つで「透明なガラス」を「曇りガラス」へと変化させてしまう瞬間調光ガラスという製品となります。

こちらを導入すれば自由自在に視線をカットできますから、お部屋の解放感は抜群のものとなるはずです。

但し、電力を利用して切り替えを行うため、設備の導入に「高額な費用」と「大がかりな工事」が必要となります。

ちなみに近年では瞬間調光ガラスフィルムも開発されたようですので、ご興味のある方は是非とも導入をご検討いただければと思います。

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窓の視線対策をご紹介まとめ

さてここまで、窓の目隠しをテーマに解説を行ってまいりました。

本来であれば、住民同士が気を遣いあって建物を建てることで「視線の問題は回避可能」なはずなのですが、利益を最優先する一部の建売業者が存在する以上、こうした対策を講じていくしかありません。

そして、どうせ対策を講じるのであれば「少しでも生活のストレスを軽減できる手法」を選択するべきですから、こうした問題で頭を悩ませた際に、是非当ブログをお役立ていただければ幸いです。

ではこれにて、「窓の視線対策をご紹介いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。