「マイホームを買うなら戸建てが良いな・・・」とお考えの方にとって、建売住宅の購入は「避けては通れない道」となっています。

大手建売会社が凄まじい高値で土地を買い漁っている昨今では「注文住宅を建てる土地を見つけ出すのは至難の業」となっており、『建売住宅へ妥協せざるを得ない』のが実情ではありますが、『購入した建売が欠陥住宅だったらどうしよう』という不安をお持ちの方も少なくないはずです。

そこで本日は「建売で欠陥が見付かった時の対処法と注意点を解説いたします!」と題して、瑕疵の状況確認や修繕・賠償についての交渉を有利に進めるポイントをわかりやすくご説明してみたいと思います。

建売で欠陥

 

まずは証拠の保全と、売主への連絡

さて、建売住宅の欠陥というテーマでお話をさせていただいておりますが、新築戸建てで発生する瑕疵(隠れた欠陥)には様々なパターンがあるものです。

なお、発生件数の多い不具合としては

  • 雨漏り
  • 床鳴り
  • 配管の異常
  • 窓や建具の建付けの不良

などが挙げられるでしょう。

そして、このような事態が発生した場合にはまず物件を販売した売主(不動産業者)に連絡を入れるべきなのですが、大切なのは生じた問題について「なるべく詳細な証拠の保全」を行うことです。

例えば「床鳴り」の場合なら修理業者が来た際に『その場で不具合の状態を確認すること』が可能ですが、雨漏りや漏水などでは「立会いの場で症状の確認を行うことがないケース」も少なくありません。(雨の日にしか水が漏れて来ない等)

よって、雨漏りなどのケースにおいては

  • スマホなどを利用した画像や動画の撮影
  • 「発生日時」や「当日の天候」の記録
  • 「漏れた水の量」と「水が澄んでいたか、濁っていたか」 の確認

など、できる限り詳細な情報を収集しておくことが重要です。

売主・施工業者との立会い

そして売主に第一報を入れたなら、次は「施工業者などと共に状況の確認を行う」という流れになります。

なお、軽微な不具合であれば「その場で一発解決」ということもあるでしょうが、住宅の不具合は自動車などの故障と異なり、一度の調査で全ての原因を突き止めるのが困難なケースも少なくありませんから、

雨漏りの場合なら「天井を切り取って点検口を設けてしばらく様子を見る」といった具合に、『原因と思われる箇所』を一つずつ潰して行く(補修して行く)といった時間の掛かる作業を余儀なくされることも多々あります。

もちろん、「何度も作業員が自宅を出入りする」のは入居者にとって大きな負担となるでしょうが、この点は我慢するしかありません。

ちなみに、ここで重要となるが

屋根裏や床下など「作業員でなければ入れない場所」でも、しっかりと状況の確認をしておくこと

となります。

例えばスマホのカメラなどを利用することで作業員以外が入れない箇所についても確認が可能となりますから、口頭での説明だけではなく自分の目で状態を確かめるようにしましょう。

一方、これは非常に稀なケースではありますが、売主が建築を下請け会社に任せている場合などには、施工業者が自分たちのミスが隠すために大きな欠陥があるの誤魔化しているいう場合もあり得ますから、こうしたトラブルを回避するという意味でも目視での確認は非常に重要となるのです。

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建売住宅の欠陥に対する責任

さて、現地での確認が完了したところで、「建売住宅の欠陥について売主や施工会社がどのような責任を負うか」という点について確認しておきましょう。

建売住宅の不具合について買主は

  • 売主に対する契約不適合責任
  • 施工業者に対する不法行為責任

以上を根拠に責任の追及を行うことができますが、通常は前者の売主に対する契約不適合責任に基づいて保証を受けることになります。

なお、新築建売住宅において売主が契約不適合責任を負う期間については

  • 建物の構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を防止する部分/引渡しから10年間
  • 配管等その他の部分/引渡しから2年間

というルールになっている上、責任の取り方についても

  • 契約解除
  • 損害賠償
  • 追完請求
  • 代金減額請求

以上の方法の中から選択が可能となりますが、通常は修理(修補)によって問題解決が図られることになるでしょう。

なお、保証期間が過ぎている場合には売主へ責任を追及することは原則としてできませんので、工事業者を紹介してもらい「買主が自費で工事を行う」ことになります。

今後に向けての話合い

こうして建物への修理が開始されたら、次は「今後、どのように問題解決に当たるか」についての話し合いを進めて行くことになります。

先程、住宅トラブルへの対応は「時間を掛けて一つ一つ行っていくもの」とは申し上げましたが、何年もだらだらと補修を続けていくのは住む者にとってストレスが大き過ぎるのも事実です。

よって売主や施工業者の対応があまりに緩慢な場合には、

購入者の側から素早い対応を「煽っていく」ことも必要

となるでしょう。

雨漏りを例に挙げれば、一定期間部分補修を繰り返しても効果が見られない場合には「外壁全体の補修を行って欲しい」など、こちらが希望する対応を忌憚なく伝えるべきです。

また、行われる補修工事の内容自体に疑問を感じた場合には、建築士や他にお付き合いのある工務店などに相談して、意見を求める方法も有効でしょう。

そして、それでも売主や施工業者の対応に不信感が募る場合には弁護士などに相談することをおすすめいたします。

なお前項でもお話しした通り、売主と施工業者が異なる場合には、施工業者が正確な情報を売主に伝えていない可能性もあり得ますので、「補修の窓口が施工業者のみになっている場合」には売主と直接相談してみるのも有効な方法となるでしょう。

建売住宅の瑕疵修理費用について

ここまでの解説をお読みになって、「売主に資力がない場合には万全の修繕をしてもらえないのでは・・・」とご心配なった方もおられるかもしれませんが、実は建売事業を行うに当たっては

  • 一定の保証金の供託
  • 公的な瑕疵保険への加入

以上のどちらかの措置を行うことが、法令によって売主に義務付けられているのです。

そして、実際に建物の不具合が判明して工事費用が必要となった場合には、売主へ「供託金の支払い」または「保険金の支払い」が行われることになりますから、『資金がないので修繕ができない』といった言い訳をすることはできないのです。

ただ、ここで気になるのが「もし瑕疵が明らかになった際、既に分譲業者が倒産してしまっていたら?」という問題となります。

確かにいくら保険等に加入していても、被保険者である分譲会社が倒産していては充分なケアーが受けられない気もして来ますが、結論から申し上げればこちらも「問題なし」というのが答えとなります。

実は瑕疵保険制度では売主の倒産も想定されており、分譲業者が機能していない場合には「住宅購入者が売主に代わって保険金を受け取ることが可能」ですから、この点も心配ご無用という訳です。

一方、保証金の供託を行っている場合も、倒産した売主に代わって住宅購入者が還付請求を行うことができるルールになっていますから、こちらも問題が生じることはないはずです。

但し、こうしたケースでは「補修工事の発注者はあくまでも物件の購入者」となりますから、しっかりとした施工を行なってくれる工務店を探すことが肝要となります。

それでも売主が保証を行わない場合

このように現在の建売住宅は購入後のトラブルを回避するための様々な制度が準備されていますが、それでも「修繕工事や賠償を行わない」という厄介な売主が存在することもまた事実です。

そして、買主がどんなに催告を行ってもこれに応じてもらえない場合には、

  • 裁判外紛争処理手続き(ADR)
  • 調停の申し立て
  • 訴訟の提起

以上のような対応を行っていくことになるでしょう。

裁判外紛争解決手続き(ADR)はその名の通り、裁判所を通さずに行う調停制度であり、各分野の専門家が紛争の解決に向けての仲裁を行なってくれる制度となります。

但し、仲裁を行ってはもらえるもののADRは強制力を持たないため、意見が真っ向から対立している場合にはあまり意味をなさない可能性が高いでしょう。

続いてご紹介するのが、裁判所で行われる調停を利用した紛争の解決方法となります。

調停と聞くと「結局は話合いでしょ?」と思われるかもしれませんが、ここで取り決められた事項は判決と同じ効力を有することになりますから、場合によっては訴訟よりも迅速な問題解決が図れる場合もあるでしょう。

そして、どのような手段を講じても話し合いが平行線を辿る場合には、訴訟を提起して決着を付ける他はありません。(調停を経ずして直接訴訟を起こすことも可能です)

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建売で欠陥が見付かった時の対処法と注意点を解説まとめ

さてここまで、建売住宅の瑕疵への対処法についてご説明を行ってまいりました。

一昔前までは、とんでもない欠陥住宅を買わされて何十年も訴訟を続けるというケースもありましたが、近年ではこうしたリスクがかなり軽減されているのをご理解いただけたことと思います。

そして、現在は「建売ビジネス誕生以来、今が最も取引の安全性が確保された状態にある」と言っても過言ではありませんから、こうした時代に建売物件を購入できるメリットを十二分に活用して、素敵なマイホームを手に入れてみては如何でしょうか。

ではこれにて、「建売で欠陥が見付かった時の対処法と注意点を解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。