これまで本ブログでは「プライベートビーチ付き物件」や「ハーバービュー物件」の購入や売却についての注意点などを解説する動画をお届けしてまいりました。
こうした立地の物件は環境や風景が素晴らしいために高い人気を誇る反面、気を付けるべき点も多いのが特徴となっていますが、『山や森林、湖などを望む物件』を購入する際にも同様のリスクがあることをご存じでしたでしょうか。
そこで本日は「自然公園法とは?わかりやすく解説いたします!」と題して、国定公園や都道府県立自然公園などの周辺にある物件の購入・売却に際して避けては通れない法律のお話をしていきたいと思います。

自然公園法の概要
自然公園法は我が国の優れた自然環境を保護すると共に、国民の健康や動植物の生態系を守ることを目的に1957年(昭和32年)に施行された法律です。
この法律においては
- 国立公園(全国に19ヶ所)/環境大臣が指定・管理を行う
- 国定公園(全国に16ヶ所)/環境大臣が指定・管理を行う
- 都道府県立自然公園(全国に310ヶ所)/都道府県知事が指定・管理を行う
以上の3種類の公園についてのルールを定めています。
※国定公園は国立公園に準ずる自然環境を有する公園となります。
また、公園を定めただけでは自然環境を守ることはできませんので、公園管理者は『公園計画』というものを策定して様々な土地利用の制限を課すこととなるのです。
ちなみに公園計画における制限は「特別保護地区」「特別地域」「海域公園地区」「普通地域」などのエリア分けを公園内で行って、「地域ごとに行為制限のルールを定める」という方式となっています。
自然公園法の行為制限
ではここから、自然公園法における「指定エリア」ごとの行為制限の内容を見ていきましょう。
特別地域
特別地域は自然公園の中でも「優れた自然環境と風景を持つ陸地部分」に指定される区域となります。
そして、このエリアでの行為制限の内容は
- 工作物の新築・改築、または増築
- 木竹の伐採等
- 鉱物や土石の採集等
- 河川、湖沼等の水位や水量に影響を及ぼす行為
- 看板等の設置
- 特定の物品の集積、または貯蔵
- 高山植物等の採取
引用元: 自然公園法 第20条
以上の行為を行う場合には、国立・国定公園は環境大臣、都道府県立自然公園は知事の『許可』が必要というルールになっています。
また、同じ特別地域内であっても更に細かいグレード分けが行われており、
- 第一種特別地域/最も制限が厳しいエリア
- 第二種特別地域/ある程度厳しい制限があるエリア
- 第三種特別地域/制限が最も緩いエリア
という3段階のエリア指定が行われることになります。
よって、第一種特別地域においては別荘などの建築はもちろん、樹木の伐採さえも許可されないのが通常ですが、第二種特別地域であれば条件次第、第三種特別地域については「別荘の建築」程度であれば許可が下りる可能性がある地域ということができるでしょう。
特別保護地区
特別保護地区は先程ご紹介した特別地域の中でも、『特に希少な自然環境を維持している地域』に指定される制限エリアとなります。
そして、その行為制限の内容は
- 特別地域で制限される行為
- 木竹を損傷させる行為
- 動物を放つこと
- たき火などをすること
引用元: 自然公園法 第21条
以上の行為について、国立・国定公園は環境大臣、都道府県立自然公園は知事の『許可』が必要とされています。
これだけ規制の厳しい区域ですので、別荘などの建築は不可能と考えるべきです。
海域公園地区
これまでご紹介してきた特別区域や特別保護地区が陸地に指定されるのに対して、海域公園地区内は原則として海上(水域)に指定される区域となります。
なお、この区域における行為制限は
- 工作物の新築・改築、または増築
- 海面の埋め立て、干拓
- 海底形状の変更
引用元: 自然公園法 第22条
以上の行為を行う際に、国立・国定公園は環境大臣、都道府県立自然公園は知事の『許可』が必要というルールになっています。
但し、原則として海上でのお話となりますので一般の方に大きな影響はないはずです。
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普通地域
「特別地域・海域公園地区以外のエリア」と定義されていますが、実質「最も行為制限の緩い地域」ということになります。
この普通地域においては、
- 環境省令で定める基準(高さ13m、または延べ床面積1000㎡を超える建築物)を超える工作物の新築・改築、増築
- 土地形状の変更
- 特別地域内の河川へ影響を及ぼす行為
- 看板等の設置
引用元: 自然公園法 第33条
以上の行為については、国立・国定公園は環境大臣、都道府県立自然公園は知事に対して、行為の種類や場所、施工法などについて『届出』が必要とされています。
よって、普通地域においては2階建てであり、一般的な延べ床面積の別荘であれば、届出さえも不要で建築に着手することができることになるのです。
風景地保護協定
さて、ここからは行為制限エリアではないものの、土地の売買に影響を及ぼす事項についてご説明していきます。
自然公園法においては、公園管理者が必要と認める場合に「公園内の土地所有者」との間で
- 自然風景地の管理方法
- 自然風景地の保護に必要となる施設整備
引用元: 自然公園法 第43条
などについて協定を結ぶことが可能とされており、この協定の対象地は不動産売買等によって所有者が変更になっても、その効力が継続することになります。
各自治体の条例による制限
ここまで自然公園法による行為制限等について解説してまいりましたが、都道府県立自然公園においては各自治体が条例により、独自のルールを定めることが可能となっています。
よって、都道府県立自然公園に係わる土地の購入や売買に際しては、自然公園法のみならず「各自治体の条例の内容」を必ず確認することが重要です。
自然公園法と不動産取引
ここまでの解説にて、山や森林、湖などを望む物件の購入や売却に際して注意が必要となる自然公園法の制限についてはご理解いただけたことと思いますので、ここからは『自然公園法と不動産取引』についてお話ししていきます。
皆様の中には「そもそも自然公園内の土地を売買することがあるのか?」という疑問をお持ちの方もおられるかもしれませんが、自然公園法の制限を受ける物件は当たり前に流通しています。
そもそも自然公園法は土地の権利関係に係わらずエリア指定を行う法律ですので、「親から相続した土地が制限区域内だった」といったケースや、「制限区域内であることを知らずに購入した土地を所有している」という方が意外に多いのです。
また、自然公園法自体がレアな法律であるため、不動産業者の調査ミスにより告知が行われないまま売買されてしまう場合も少なくないというから驚きです。
ちなみに、不動産取引に仲介業者が介在する場合に義務付けられている重要事項の説明においては、この記事でご紹介した
- 特別地域
- 特別保護地区
- 海域公園地区
- 普通地域
- 風景地保護協定
- 各自治体の条例
以上の全ての制限について告知が義務付けられています。
なお、制限区域に該当するか否かについては
- 国立公園・国定公園/環境省HPの各公園のページある「区域図」
- 都道府県立自然公園/各自治他の担当窓口
にて確認が可能となっています。
そして最も気になる「自然公園法の行為制限が不動産の資産価値に与える影響」につきましては
- 特別地域/第三種は一定の資産価値を維持(条件次第では第二種も同様)
- 特別保護地区/資産価値は非常に低い
- 普通地域/一定の資産価値を維持
- 風景地保護協定/協定の内容と立地に大きく左右される
- 各自治体の条例/条例の内容と立地に大きく左右される
以上のような内容となるはずです。
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自然公園法とは?わかりやすく解説まとめ
さてここまで、自然公園法をテーマに解説を行ってまいりました。
豊かな自然に囲まれた別荘は憧れの存在ですが、これを購入するとなると注意すべき様々なのポイントがあることをご理解いただけたのではないでしょうか。
また既にお話しした通り、自然公園法の制限は不動産業者にもスルーされやすい「危険な落とし穴」となりますから、売主・買主共に注意を払いながら取引に臨んでいただければと思います。
ではこれにて、「自然公園法とは?わかりやすく解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。