「収益物件の買取り」を管理人が初めて行った際の模様については、前回の記事「投資物件購入流れをレポート(アパート編・前編)」にてお話をさせていただきました。

そして先般の記事にて「収益物件売買の流れ」に関してはご理解けたことと思いますが、これはあくまで不動産投資の入り口であり、「スタート地点に立っただけに過ぎない状態である」とも言えるでしょう。

そこで今回は、「収益物件購入後の運用方法」や「物件の管理」にスポットを当てた収益物件購入後の体験記(前回記事の続き)をお届けしていきたいと思います。

では早速、投資物件購入後の注意点を見ていきしょう!

投資物件購入後の注意点

 

購入したアパートの運用を開始!

築22年の軽量鉄骨造、8世帯(間取りは2K)の投資アパートを無事に購入できた管理人。(あくまで「会社で業務として購入しているだけ」ですが)

そして引渡しも問題なく済ませることができましたから、ここからいよいよ運用と管理を始めて行かなければなりません。

そもそもこの物件を紹介(仲介)してくれたのは、このアパートを長年管理している不動産業者さんだったのですが、「売買の後も引き続き管理をお願いしたい・・・」という私の申し出に対しては『かなり消極的』なご様子でした。

賃貸をメインにしている不動産業者にしてみれば、管理物件を増やすことそこが安定した収入を得る一番の近道ですから、管理の依頼に乗り気でないということは「何かある」と考えるのが自然でしょう。

仕入担当者である私としては、この件に『薄々気付いていた』のですが、我が社の社長は完全に利回りの高さに心を奪われており、全く意に介しておられないご様子です。

但し、行うべき業務はまだまだありますので、不安な気持ちをねじ伏せて実務をこなしていきます。

収益物件を購入に際して、まず気になるのが「賃料の振込先の変更について、混乱が生じないか?」という点になるかと思いますが、所有権の移転を行う前に旧所有者と管理会社の連名で『大家が代わる旨』を入居者全員に通知してもらっていますから、「基本的にトラブルはない」と信じてその他の手続きを進めて行きます。

そこでまずは共用部分の電気に関して、使用料の請求先を我が社に変更する手続きを行いました。

次いで給水装置(水道メーター)の所有者変更を行います。

もちろん、水道料金自体は各部屋を借りている人間が個別に契約して支払っていますが、水道メーターの権利はアパート所有者のものとなりますので、旧所有者からしっかり変更しておかなければなりません。(戸建でも同様)。

なお今回の物件は千葉に所在しているのですが、東京都には「メーターの所有権」という制度自体がありませんので、都内での取引では不要の手続きとなります。

そして、こうした事務系の手続きの後は、より具体的な維持管理についての段取りを進めて行きます。

まずは共用部分の定期清掃の手配をしなければなりません。

この規模のアパートならば、2週間に1度くらいの掃除で充分かと思われますので、見積もりをとった上で業者への依頼を行います。

また、旧所有者からもらった修繕記録を見ると下水の高圧洗浄や、消防点検を長年やっていない様子なので、こちらも順次手配を掛けねばなりません。

このようなお話をすると「そんなことまでしなくとも」とお思いになられるかもしれませんが、高圧洗浄は建物を長持ちさせるためには重要な作業ですし、消防法の違反は大きなペナルティーを受ける可能性がありますので、充分注意しておきたいところです。

なお、このどちらの作業もお部屋に入って行うものとなりますから、住人のたちの暮らしぶりを確認するチャンスという意味も含んでいたりします。

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様々なトラブル

こうして「新しい大家さんが行うべき手続き」を進めている内に時間は流れ、いよいよ初めての賃料収入が入って来る時期を迎えます。

そこで我が社の経理担当者へ賃料の入金状況を確認してもらいますが、「本来の収入予定額には程遠い金額しか振込まれていない」とのことです。

そこで慌てて、金額の内訳を調べてみると3部屋分の賃料が未納となっています。

まずは購入の際に仲介に入った不動産屋さんを通して、旧所有者(旧大家)に「入居者からの誤った入金が無かったか」を確認してもらうことにしました。

すると案の定、2部屋分の賃料が旧大家さんの口座に振り込まれていましたので、振替の手続きをお願いしました。

やはり、一度だけの通知で全員に周知を行き渡らせることは不可能だった様子なので、今後の収益物件の取引では大いに注意すべきでしょう。

しかし最大の問題は、純粋に滞納をしている一部屋に関してです。

早速、入居者へ電話を掛けてみますが応答はありませんでしたので、手紙や訪問を繰り返します。

その後、数回目のチャレンジでようやく入居者に会うことができたので、「以後、賃料が遅れれば連帯保証人へ即座に請求する旨」を伝えました。

もしも彼が常習的な滞納者であれば、この程度の対応で滞納が解消されるはずもないのですが、互いに初対面となりますのでまずはライトな忠告をした上で様子を見ることにしたのです。

また、現在の滞納分については「3日以内に振り込む」とのことなので、ここはおとなしく入金を待つことにします。

ところが、この入金を待つ間に別の問題が発生します。

この物件の一階を借りている住人から、雨漏りがあったとのクレームが入ったのです。

そこで普段から仕事を依頼しているリフォーム屋さんと現場の確認に行きますが、どうやら二階にある部屋のバルコニーの排水口が詰まり、プール状態となったバルコニーから行き場を失った雨水が一階の部屋の天井に流れ込んだのが雨漏りの原因であるようです。

そこで配管を洗浄して、二階のバルコニーの水を抜いてみたところ、漏水は完全に収まりました。

ちなみにこの件について、「それって瑕疵担保責任として、旧所有者に費用を請求することはできないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の場合は配管のトラブル、それも詰まりが原因ですから売主の責任が認められることはないでしょう。

また、今回の取引は「瑕疵担保免責」が契約書に謳われていますので、たとえ建物が傾いたとしても瑕疵担保責任を旧所有者に請求することはできないのです。

とりあえず雨漏りに関しては『大事に至らずに済んだ』と安心していると、例の滞納者と約束した3日間が既に過ぎていることに気付きます。

慌てて、入居者・連帯保証人共に連絡を入れてみますが、二人とも音信不通の状態です。

ただ、このまま放置すれば舐められるだけですので、とりあえず両者に内容証明を送り付けたところ、即座に滞納分は振り込まれ、翌月以降はしっかり賃料が入金されるようになりました。

その後も様々なトラブルを引き起こし、非常に手を焼かされるとになるこちらの物件ですが、会社的には毎月固定収入が入るのは非常に有り難いらしく、私の苦労を尻目に、社長の「収益物件買いたい欲」は益々過熱していくのでした。

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アパート購入の注意点まとめ

こうして今現在も社有物件として運用されているのが、私の「収益物件買取一号」となったアパートです。

また、この仕入れを通して思い知らされたのが、投資物件の購入は「買うまで」より「買った後の方が遥かに面倒である」という教訓でした。

よって購入の段階から、将来的に発生するリスクを充分に把握し、それに見合った価格で購入することが、投資物件を購入する上で何よりも大切なこととなるでしょう。

また、今回の物件は購入後に管理会社が管理を継続しなかったため、「何かあるな・・・」と思っていたのですが、実は数年後にその心配が現実のものとなります。

その顛末については、また改めて記事に致しますが、既存の管理会社の動向(管理を引き続き行うか、否か)も物件のリスクを計るバロメーターとなりますので、この点にも充分にご注意ください。

また、年数が経過している中古物件であればある程に、多くのトラブルが発生する可能性が高まりますから、目先の利回りに囚われることなく、正確な物件の価値を見極めることが非常に重要といえるしょう。

ではこれにて、投資物件購入後の注意点をレポート!(アパート編・後編)を閉じさせていただきたいと思います。