不動産売買の固定資産税等精算

 

不動産の売買においては、私たちが普段の生活の中であまり経験することのないイベントや手続きが数多く存在します。

また以前、本ブログでは不動産売買の流れについてご説明をいたしましたが、この記事に関して「より具体的な諸費用のやり取りなどについても、詳しい解説が聞きたい」とのご要望をいただいておりました。

そこで今回は、決済の場において売主・買主間で受け渡しされる不動産売買の固定資産税等精算金に関する知恵袋をお届けしたいと思います。

なお本記事では、仲介手数料や住宅ローン手数料などの「不動産業者・銀行に支払う費用」及び、「契約書に貼る印紙代」などについては触れないものとさせていただきます。

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売買における売主・買主間の精算金

一口に不動産の売買といっても、その取引の形態には実に様々なパターンがあります。

もちろん『物件を売って、これを買ってもらう』という本筋の部分に変わりはありませんが、「物件が共有名義になっている」「自宅の一部が賃貸中だ」「任意売却で不動産を手放さざるを得ない」など、個々の取引には一つ一つ異なる事情や背景が存在しており、

20年以上不動産業に従事している私でも、「全く同じパターンの取引」は一度たりとも経験していませんので、考え方によっては『不動産取引は実に厄介なイベント』とも言えそうです。

そして状況が異なれば、その度に授受される精算金の種類も異なって来るものですが、登場頻度が非常に高い精算金といえば、

  • 固定資産税・都市計画税(全物件共通)
  • 管理費・修繕費(分譲マンションの場合)
  • 賃料・敷金(投資物件の場合)

などが主なものになろうかと思います。

なお、上記一覧を見てお気付きのこととは思いますが、物件の種別によっても精算される金銭の内容はかなり異なって来るものです。

そこで次項では、物件の種類ごとに受け渡しされる精算金の性質や支払方法についてお話していきたいと思います。

※電気・ガス・水道等の精算金については、それぞれの供給会社にて日割りの精算が可能となりますので、今回は省略させていただきます。

全物件共通

全ての物件に共通して精算しなければならないのが、固定資産税・都市計画税の精算金です。

土地でも建物でも不動産と名が付くものの殆どは、地方税である固定資産税・都市計画税の課税対象となっており、所有者は毎年これらの税金を支払うこととなっています。

また、税金の支払義務があるのはその年の1月1日に、登記簿謄本において所有者として記載されている者ということになりますから、物件をどのタイミングで引渡しても「必ず売主の下に税金の請求が来てしまう」ことになるのです。(固定資産税の詳細は「固定資産税の計算方法や課税の仕組みについて解説いたします!」の記事をご参照ください)

そこで不動産売買においては、物件引渡し時に1年分の固定資産税・都市計画税を日割りで精算するのが慣例となっています。

税額については、春先に売主の手元に納付書が届けられますし、4月1日以降なら役所で公課証明などを取得することで、その税額を確認することができますが、問題となるのは1月~3月末に行われる物件の引渡しです。

この期間は、その年に課税される固定資産税・都市計画税の税額を知る術がありません。

こうした場合には、

  1. 一端前年の税額で固定資産税等の精算を行い、後日税額が確定した段階で再精算をする。
  2. 売主・買主合意の上で「前年の税額を精算額」とし、当年の税額との間に差があっても互いに異議を申し立てない取り決めを行う。

というどちらかのパターンで処理されることとなります。

 

また、新築の建物についても、少々独特な処理の方法が執られます。

引渡しの年の1月1日に建築中(未完成)の物件は、非課税となりますから、このパターンの場合には建物についての固定資産税等の精算は不要です。

但し、税金の支払いを逃れるため、完成しているのに故意に登記を行っていない場合などには、課税の対象となってしまうこともありますから、こうしたケースで4月までに引渡しを行わなければならない際には、

  1. 予想に基ずく税額で精算を行い、税額確定後に改めて精算をする。
  2. 予想に基ずいた税額で精算を行い、以後の再精算は行わない。
  3. 引渡し時には精算を行わず、税額確定を待ってから精算を行う。

以上のいずれかのパターンで処理されることとなります。

※「予想に基ずく税額」の算出に際しては、各地の法務局が発表する『新築建物課税標準価格認定基準表』を基準とするのが一般的です。

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分譲マンション

分譲マンションの売買においては固定資産税・都市計画税に加え、月々支払うこととなる管理費・修繕費等についても、決済時に日割り精算をしなければなりません。

毎月支払うべきものですし、金額も固定されているので特に問題はないように思われますが、ここにも注意すべき点は存在します。

まず問題となるのが、所有者が管理費・修繕費等を自動引き落としにしている場合であり、決済日よりかなり早めに「引き落とし停止の手続き」をしなければ、管理費等の二重払いが発生する可能性があるでしょう。

また、マンション管理会社によっては2ヶ月分、3ヶ月分の管理費等をまとめて引き落としている場合もありますから、こうしたケースでは更に厄介なことになります。

ちなみに、このようなトラブルを回避するためには、売買前にマンション管理会社の引き落としシステムの詳細を充分に確認しておくことが重要ですし、

契約上の都合(買主の住宅ローンの承認がなかなか下りない場合など)で早めの手続きが行えない場合には、決済時に2ヶ月分、3ヶ月分の管理費等をまとめて精算しておくのがベターでしょう。

なお管理費等の他にも、ルーフバルコニーやアルコープの専用使用料などを精算しなければならい物件もありますので注意が必要です。

そして、最も厄介なのが売主が管理費や修繕積立金等を滞納しているケースとなります。

通常は売買代金などで滞納分を精算する方法が執られますが、遅延損害金などが定められている場合もありますから、こちらも管理会社と入念な事前打ち合わせをしておくべきでしょう。

収益物件

不動産投資における収益物件においては、固定資産税等に加えて、賃料や敷金の精算を行う必要があります。

また、分譲マンションで賃貸中の物件(オーナーチェンジ物件)を売買するとなれば、更にここに管理費・修繕費の精算が追加されますから、最も精算金の種類が多い取引となるはずです。

賃料

賃料については引渡し日で日割り精算をすることとなりますが、問題となるのが滞納者がいる場合の処理です。

可能であるならば、引渡し日までに滞納者からの徴収を済ませたいところですが、不可能な場合には買主と相談の上、処理方法を決定することとなります。

敷金

敷金については、あくまでも入居者からオーナーが預かっている金員となりますから、売買の際には「売主から買主にそのままスライドされる金銭」となります。

しかしながら、実際に売主から買主への敷金受け渡しが行われることは稀であり、売買代金から敷金分を差し引いて(相殺して)決済を行うのが通常です。

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不動産売買の固定資産税等精算まとめ

さてここまで、不動産売買の決済の場において精算する金員について解説をしてまいりました。

不動産取引の対象は「生活の場」であるため、売買の際には実に様々な精算金が発生することをご理解いただけたことと思います。

また、債権絡みの案件や相続案件では、こうした精算金を巡って後々揉め事に発展するケースもありますから、しっかりとした処理を行いたいものです。

ではこれにて、「不動産売買の固定資産税等精算について」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!