これまで本ブログでは、折に触れて「収益物件の運用をより有利に進める方法」について解説してまいりました。

ちなみに過去記事「不動産投資利回り向上の裏技をご紹介!」「土地の分割売却で収益を上げるよう!」「建物を切断して、収益を上げよう!」などがこれに当たるかと思いますが、今回はそれらに加えてもう一つ、既存の収益率を向上させる方法をご提案させていただきたいと思います。

なお、今回ご紹介する収益率向上法は「物件に改造(改築)を施す」という点が「肝」となるのですが、実はこのテクニックには「大きく分けて2つのパターン」がありますので、本記事おいては各々方法のメリット・デメリットなどもお話ししながらご説明をさせていただくつもりです。

では早速、物件改造で不動産投資を有利に進める知恵袋を開いてみましょう。

物件改造

 

面積や間取りによって賃料設定は変わる

冒頭でのお話を聞いて『物件を改造するって一体どういう意味なの?』という疑問を持たれた方も多かったことと思いますので、まずは基本となる考え方からご説明していきたいと思います。

過去記事「マイホームの土地の広さや面積について解説いたします!」の中でもご説明いたしましたが、不動産の価格はその面積によって単価が変動するという性質を持っています。

もちろん物件が置かれた状況によっても変わって来るものですが、基本的には『より小さい面積のもの程、その単価(平米単価や坪単価)は高めになる』ものです。

例えば「面積30坪(100㎡)の土地」と「15坪(50㎡)の土地」を比較した場合には、総額はもちろん30坪の土地の方が高額となるものの、1坪当たりの単価は15坪の土地の方が高くなるのが通常です。

なお、こうした現象は賃貸物件の賃料においても同様であり、20㎡のワンルームが6万円で借りられる地域で、面積が3倍となる60㎡のファミリータイプ物件に18万円の賃料設定(面積に比例した3倍の賃料設定)を行えば、

借手からは「家賃が高過ぎる」と判断されてしまうのは確実ですから、この理屈を考えれば「物件の面積による単価変動の仕組み」がご理解いただけることでしょう。

そして、今回ご紹介する2つの物件改造法の1つである「建物分割法(小さく仕切る方法)」においては、この単価変動の仕組みを利用するすることになります。

つまり、床面積が広過ぎる物件に対してお部屋の中に「仕切り壁」を作り、小さいお部屋へと分割する改築を行うことで「より高額な賃料を設定して、収益率を高める」ことが可能になるという訳です。

 

また、先程とは全く反対の改築を行うことになるのが、もう一方の「建物結合法(まとめて大きくする方法)」となります。

さて、このようなお話をすると「賃料単価が下がるのに、何故そんなことをする必要があるの?」と思われる方も多いでしょうが、地域によっては「小さい面積のお部屋のニーズが低い」というエリアも存在しているものです。(圧倒的にファミリータイプの物件のニーズが高いエリアなど)

更に、募集の対象が事業用物件ともなれば「小さい面積の事務所や店舗は殆ど求められていない」という地域だって存在します。(郊外型店舗のニーズが高いエリアなど)

そして、このような地域において「既存の間取りや床面積ではなかなか満室にならない」という状況においては、物件の壁をぶち抜くことで「広い一部屋」を作り、たとえ「坪(㎡)あたりの単価」を下げることになっても、常に満室経営を実現した方がお得というケースも確かに存在するのです。

 

こうした「面積や間取りのマジック」を上手に利用することが、今回ご紹介する収益率向上法の「要点」となります。

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おすすめの改造パターン

では具体的に、お部屋の改造方法についてお話しして行こうと思いますが、まず前提となるのは「工事とそれに伴う費用対効果の問題」です。

お部屋を小さく仕切るにしても、2つのお部屋を合体させるにしても、これには当然ながら費用が発生します。

なお、既に収益物件をお持ちである場合には、これまでに上げて来た収益の中から工事費用を捻出することが可能でしょうが、「これから物件を買う」という際に、高額な工事費用を投資するのはなかなか困難なものですよね。

そこで、こうした方におすすめなのが広めの店舗や事務所を備えた物件を購入して、これを小さな事務所・店舗へと改造するプランとなります。

居住用物件の場合、必ずお風呂やキッチン、バスルームなどを一部屋にワンセット備え付けられていなければなりませんが、事務所や店舗なら、トイレと水道だけあれば、貸出すのに問題はありません。

それどころか、下水の配管と水道の引き込みさえあれば、「内装費用はテナント持ち」という契約だって可能なのです。

よって、これから投資物件を購入して改造を施すのであれば、建物分割法(小さく仕切る方法)を用いた上で、事務所・店舗物件をその舞台に選ぶのが最もふさわしいことになります。

なお実際に収益物件の販売図面などを見ていると、1階、2階は店舗といういう建物もよく見掛けますし、物件に組み込まれた大型の事業用物件が空室である場合などは「販売価格の設定も安めになることが多い」ですから、これは益々狙い目ということになるでしょう。

 

具体的な改造

さて、理想的な改造パターンをご提案したところで、それぞれの改造プランの注意すべき点などについて解説して行くことにしましょう。

建物分割法(小さく仕切る方法)

「物件の収益率を高める」という意味で最も効果的な手法が、物件を細かく仕切る建物分割法です。

事務所や店舗などについては20㎡などの「非常に小ぶりな物件」も人気がありますから、ターミナル駅の近くや繁華街周辺など、潜在的なニーズがあるエリアであれば充分に勝算のある改造法と言えます。

但し注意が必要なのは、トイレを分割した部屋ごとに設置する場合に「下水配管の勾配が確保できるか」という点と、「間仕切りの設置の仕方が消防法等に触れないか」という2点についてです。

そして、建物分割法においては上記のような事情によって、思う通りの分割ができない可能性もありますので、計画を実行する前には必ず「設計士や施工業者との打ち合わせを入念に行うべき」でしょう。

建物結合法(まとめて大きくする方法)

冒頭でも申し上げた通り、物件の床面積は大きくなる程に「賃料の単価が下落する」のが通常です。

但し、保有する物件に面積の小さな店舗が複数並んでおり、そこに「大型の店舗を借りたい方(コンビニの店舗を探しているお客様)を誘致して、安定した賃料収入を確保したい」という場合には、店舗間の壁をぶち抜いて、一つの大型店舗とする建物結合法も有効な手段となるでしょう。

なお、前項でお話しした「建物分割法」と異なり、壁や不要なトイレなどを撤去するだけの工事になりますので、消防法などの規制を受けることはまずありませんが、問題となるのは「壊そうと計画している壁の種類」となります。

建物の壁の中には「構造壁」と呼ばれる「建物の耐久性を維持するのに欠かせない壁」も存在していますから、当然こうした壁の撤去は不可能です。

更に、壁を壊してみたら「これまで気付いていなかった柱や梁が出てきたというケースも珍しくありませんので、この点にも注意が必要でしょう。

よって、お部屋の結合工事を行う前にも、建築確認の図面をしっかりと確認した上で設計士などとの打ち合わせが必須となるでしょう。

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建物改造まとめ

さて、ここまで見て来た通り、物件の改造には多くのメリットを生み出すのと同時に、様々な注意点も存在しているものです。

但し、やり方次第では「既存の収益を大きく上回る収入」が得られる可能性も少なくありませんから、是非積極的にトライしていただければと思います。

また、今回ご紹介した建物改造の手法は「今あるものを活用して、如何に効率的な収益を上げることができるか」という、不動産投資家のスキルが試される局面でもありますから、現在の運用状態に満足しているという方についても、「腕試し」として検討してみる価値はあるのではないでしょうか。。

ではこれにて、物件改造で不動産投資を有利に進める方法の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。