現在、多くの投資家から熱い注目を集めているのが不動産投資となります。

これまで投資対象のメインとなっていたのは「金融関連商品」や「株の売買」でしたが、世界経済に大きなリスク(中国経済の失速、新型コロナウィルスの感染拡大、米中の貿易摩擦等)が忍び寄るのを受けて、今再び不動産投資へ人気が再燃しつつあるようです。

しかしながら、今や「収益物件を購入して賃料収入を得る」という投資モデルも、既に飽和状態を迎えていますし、人口の減少により賃貸住宅が供給過多の傾向にある現状も見過ごすことはできませんよね。

また、こうした状況の中で既に投資物件を保有している投資家さんたちは、「如何に空室率を減少させるか?」という問題に必死に対応されていることと思います。

そこで本日、ご提案させていただきたのがコンセプト賃貸マンション経営によって収益性を向上させる方法となります。

近年、耳にすることが多くなった「コンセプト住宅とは何なのか?」、また「賃貸物件のコンセプト化をどのように進めていくべきなのか?」、本日はこうした点にスポットを当ててお話をさせていただきたいと思います。

では、コンセプト賃貸マンションで、高い収益性を確保するための知恵袋を開いてみましょう。

コンセプト賃貸マンション

 

コンセプト物件の発祥と、現在の状況

「そもそもコンセプト住宅って何?」という方も多いかと思いますので、まずはその考え方からご説明してまいりたいと思います。

「コンセプト(concept)」とは、英語で「意図」「テーマ」「構想」などを意味する言葉です。

この用語が不動産業界で使わるようになったのは、一時期流行った「コンセプト分譲マンション」という物件群が『その走り』であったように記憶しています。

当時のコンセプトマンションについては、例えば「ゴルフ好きの方々が集う物件」であれば「屋上に打ちっぱなし練習場」が整備されている上、練習場には「レッスンプロが常駐」しているなど、『同じ趣向を持つ方々が住みやすい環境を得られる』という方向性が主流となっていました。

やがてこのトレンドは分譲マンション業界全体に広がることとなり、「動物好きが集まるペットマンション」や「ご高齢者が住みやすいバリアフリーマンション」等、様々な方向性を持って枝分かれをしていくことになります。

なお、こうしたコンセプト物件が脚光を浴びた時期は、ちょうど日本経済がデフレ景気の真っ只中からやや上向いた時期でもあり、

それまでの「建築コストを下げることが最優先、デザイン性やオリジナリティーは二の次」という住宅業界の傾向に反発する、ユーザー心理を見事に突いた戦略だったのでしょう。

なお、コンセプト化に成功した物件は、当時の物件所在地の相場価格よりも「大幅な高値で成約するケース」も数多く報告されており、当時の分譲マンション業界は「コンセプトマンションブーム」とも言える状況になっていたのです。

そして現在では、冒頭でもお話しした「不動産投資ブーム」の到来を切っ掛けに収益物件の建築においても「コスト削減が最優先、デザイン・オリジナリティーは度外視」という状況が続いており、ここで改めて『賃貸物件にコンセプト化の需要』が生じ始めることとなった訳です。

では実際に、賃貸物件においては「どのようなコンセプト化」が人気を博しているのでしょうか。

スポンサーリンク

コンセプト賃貸物件の具体例

さて、具体的な事例をご紹介する前に、まずお話ししておきたいのが賃貸物件におけるコンセプト化については、大きく分けて「施設型」と「デザイン型」という2つのタイプが存在しているという点です。

施設型

先程ご説明した分譲マンションにおける「施設(設備)によるコンセプト化」の傾向を、そのまま受け継いだタイプの物件となります。

但し、分譲マンションの場合はゴルフ練習場などの維持管理を管理組合が行うため、大規模な施設の運営が可能でしたが、収益物件においてこれを実現するのは至難の技です。

そこで、完全防音のお部屋にリフォームを行っての「楽器演奏大歓迎アパート」や、室内にキャットウォークなどを備えた「ペット型賃貸物件」、バイク好きのために室内駐輪場や整備スペースを完備した「バイカ―アパート」など、『各居室に特殊な機能や施設を備えることでコンセプト化を図る手法』が用いられることになります。

もちろん、こうした物件を作るには建築やリフォームなどに相当な経費が掛かりますが、特殊な趣向を持った方が住める物件は非常に数が限られるため、間違いなく需要はあるはずです。

なお、このタイプのコンセプト物件を成功させるためのコツとしては「物件所在地と如何に合致したコンセプト賃貸物件をプロデュースできるか」という点が挙げられます。

例えば、音大や音楽の専門学校の近隣であれば「防音物件」、近隣に住宅が少なく騒音でクレームが出辛い地域であれば「バイク物件」など、地域性と展開するコンセプト物件の選択を誤らないことが肝心となるでしょう。

デザイン型

デザイン型のコンセプト賃貸物件を造るに当たっては、お部屋の内装に強烈なインパクトを付加する手法が用いられることとなります。

なお一時期、非常にオシャレな内装を売りにしたデザイナーズ物件がブームとなりましたが、このデザイン型コンセプト賃貸物件はその趣向性を極限まで特化させたものとお考えいただければ判りやすいでしょう。

例えば、お部屋全体を「白」で統一したアーティスティックな内装にしたり、今では外国人からも人気のある「カワイイ」をコンセプトにしたピンクや黄色などド派手な内装のお部屋を造ったりするのが、このタイプの物件となります。

また、渋い趣向に狙いを定めるのであれば、昭和初期の部屋をイメージした「レトロ内装」や、意外にファンが多い「アメリカ風内装」など、『とにかく一定の趣向に特化したお部屋作り』がこのタイプのコンセプト賃貸物件を作る上でのポイントとなるでしょう。

ちなみに、先にお話した施設型に比べてお部屋ごとのアレンジが可能な上、リフォーム費用も安価で済みます(壁紙・クッションフロアー・建具・家具の交換程度でコンセプト化が実現できる)から、失敗が怖いという賃貸物件オーナー様にはこのデザイン型からコンセプト化をスタートさせるのがおすすめかと思います。

スポンサーリンク

コンセプト賃貸まとめ

さて、ここまで見て来たように、コンセプト賃貸マンションには様々な方向性が存在しているものです。

なお、自分で企画しておきながら「こんな部屋で本当に大丈夫なのか?」と不安になることがあることかと思いますが、こうして迷いながら造った物件に相場よりもかなりの高額な賃料で借り手が付くことも実際にありますから、腹を決めてコンセプト化にチャレンジしていただければと思います。

もちろん、コンセプト化に当たってデザイナーなどに依頼することができれば「それに越したことはない」のですが、当然「それなりの費用」も掛かるため、私などは自分のセンスで物件のプロデュースしてしまっております。

なお、あまり偉そうなことは言えませんが、自分でデザインを行う際のポイントは、「これはやり過ぎでは?」と思った時にも中途半端な妥協をしないことが重要です。

コンセプト住宅(デザイン型)の売りは、「他の物件では絶対に実現できない内装を敢えて形にすること」ですから、ここは失敗を恐れずに思い切ったデザインにしてしまいましょう。

住宅供給過多と言われて久しい世の中だからこそ、人気物件をプロデュースするために勇気を振り絞ってみては如何でしょうか。

ではこれにて、「コンセプト賃貸マンションで高い収益性を確保しよう!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。