建売会社

 

現在、一般の方が「戸建て物件を購入する」となれば、築浅の中古物件を購入する以外は「建売屋さん」と呼ばれる分譲会社が建てた建売の中から、お気に入りの物件を選ぶというのが、マイホーム探しの現実となっています。

そして、このような状況となっている背景には「建売さんが土地の高額買取を行っており、その結果として一般の方に向けての売地や築年数の古い戸建て(建物の解体が前提となる中古戸建て)は、殆ど市場に出回らなくなってしまっている』という事情が存在しているのです。

なお、このようなお話をすると「建売屋さんは随分儲かっているのだな・・・」といった印象を持たれるかもしれませんが、実は不動産業界でも「建売は一切やらない」という業者は意外に多く、建売屋さんの実態については同業者にもあまり知られていないというのが現実でしょう。

そこで本日は、そんな謎多き建売屋さんの実態についてレポートしてみたいと思います。

では、建売会社に関する知恵袋を開いてみましょう。

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現在の建売屋さん事情

過去の記事「不動産営業の仕事内容!建売屋さん編」でもお話をさせていただいた通り、建売屋さんの主な仕事は土地を仕入れて建物を建築し、これを販売することとなります。

「土地を仕入れて転売する」というと、『非常に潤沢な資金力を持った会社さん・・・』というイメージがあるかもしれませんが、実はそうとばかりも言い切れません。

建売屋さんの中には社員が僅か数人、会社によっては社長一人で運営されているという企業も数多く存在しています。

ちなみに、彼らの事業資金調達先はと言えば、当然ながら「金融機関から」ということになる訳ですが、規模が非常に小さな建売屋さんに対して銀行は融資をしてくれるのでしょうか。

実は現在、金融機関は融資先の開拓に力を注いでいる状態となっていますし、不動産は融資対象自体の担保評価が高いため、銀行としても『建売会社は非常にお金を貸しやすい企業』となっており、ほぼ実績がない状態でも融資をしてくれる金融機関も少なくないのです。

こうした事情から世間には多くの建売事業者が乱立することとなり、一口に建売屋さんと言っても、その中には社員数百人規模の大手企業もあれば、中小、零細企業も数多く含まれることになるのです。

また近年では、大手の建売屋さんの中に「パワービルダー」などと呼ばれる、凄まじい資金力と規模を持った会社も登場し始めています。

実はひと昔前までは、あまり大手の建売屋さんは存在せず、「地域ごとにそれなりの規模の会社が点在している状態」だったのですが、ここ20年程の期間で急速に規模を拡大する会社が出現し始め、全国展開・テレビCMの開始と一気にその存在感を強めているのです。

そして、これらの大手建売屋さんは自社で建築会社を立ち上げたり、海外に材木調達用の別会社を設立するなどして、大幅な建築コストの削減を進めています。

更にこれらの企業は、少しでも多くの建売用地を仕入れるために複数の現場で「利益を案分する」などの手法も用いているようです。

これはA・B・Cという三つの土地があった場合、B・Cで利益が見込めれば、Aの土地はたとえ赤字でも高く買い取り、「どんな土地でも高額買取が可能である」ことをアピールしていくという作戦となります。

こうした様々な企業努力により、大手建売業者の土地買取価格は上昇の一途を辿っており、一般の方が土地の売却を開始すると、購入希望者は全て建売屋さんなどという事態も、今や決して珍しくはないのです。

なお、このような大企業の台頭に苦戦を強いられることとなっているのが、冒頭でお話した中小規模の建売屋さんたちとなります。

現在では「大手企業の一人勝ち現象」が経済界全体で見受けられますが、建売業界においても遅ればせながら、これと同様の状況が起こり始めているという訳です。

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今後の建売業界の行方

さて、大手の建売屋さんの台頭に苦しい状況となっている規模の小さな建売屋さんですが、そのまま滅亡への道を歩む訳には行きません。

そこで、これら中小規模の業者は生き残りを賭けて様々な手段・方法を駆使した「大手への対抗策」を講じ始めることになります。

まず大手業者の特徴として挙げられるのが、「少しでも多くの仕事を効率的にこなしたい」との理由から、『権利関係の調整や、崖地など加工に手間の掛かる物件の購入には消極的である』という傾向です。

こうした大手企業の特徴に着目し、中小規模の建売屋さんの中には特殊な立地(崖地や道下の物件など)や権利関係の調整が面倒(借地権など)な物件に特化した事業展開を開始する企業が数多く見受けられます。

また、大手企業の建売は「間取りやデザインが非常に無難で、不特定多数のお客様に好まれやすい仕様を選択する傾向」にありますので、「バリアフリー住宅」「太陽光発電システム付き住宅」「屋上に庭を設けた住宅(屋上緑化住宅)」など、大手には実現できない建物のコンセプト化によって、競争力を付けて行こうとする建売屋さんも多く登場しています。

更には、土地の仕入れの方法や、土地を卸してくれた業者への利益還元(通常の仲介手数料の他にコンサルタント料などを支払う等)といった手段で、他社との差別化を図っている企業も多いようです。

なお珍しい例では、ある一定の地域にのみ限定して、たとえ赤字覚悟でも建売用地の高額買い取りを行い、大手のエリア進出を阻んでいるという業者も存在していると聞きます。

そして今後は、土地の仕入れ情報を持ち込む仲介業者自身も、こうした中小の建売屋さんの戦略をしっかりと把握した上でセールスを行うことが重要になってくるのではないでしょうか。

※一時期、戸建ての建築に向かない土地(道路に対する接道幅が狭く自動車の出入りができない物件など)を購入し、新築の売アパートとして転売する建売さんが増えていましたが、「某金融機関の不動産投資家向け融資の不祥事事件」を受け、このタイプの事業は現在完全に下火の状態となっています。

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建売屋さんの現状まとめ

さて、ここまでお話して来た通り、中小の建売屋さんにとっては苦しい時期がまだまだ続くことになるかと思いますが、様々な趣向を凝らした建売が増えることは、購入する側にとっても「マイホーム選びの選択肢が増える」ことに繋がりますから、是非とも大手企業に負けることのないように頑張っていただきたいところです。

また、建売屋さんへの転職をお考えの不動産営業マンにとっては、如何なる会社を選択するかが、非常に難しい時期に差し掛かっているといえるでしょう。

中小の建売業者の中には「建売事業自体を諦める会社」も出始めていますし、大手に入社しても社内の競争は非常に激化している上、他社との建売用地の争奪戦も熾烈を極める状況となっています。

ただ、このような厳しい地合いの中で仕事をするからこそ、大手に所属するにしろ、中小の業者へ入社するにしろ、「仕事のやり甲斐」と「スキルアップのチャンス」などを得られる機会も増えるはずですから、是非とも臆することなく建売会社の門を叩いていただきたいものです。

ではこれにて、「建売会社を取り巻く現状について」の知恵袋を閉じさせていただきます!