世間には非常に多くの儲け話や、投資の話が転がっているものですよね。

株取引にFX、投資信託・金銀相場など、その枚挙には暇がありませんが、最も安定感のある投資のひとつと言われているのが「不動産投資」です。

なお、不動産投資の具体的な内容としては、分譲マンションの一室や一棟建てのアパート等を購入し、これを賃貸することで「家賃収入」を得たり、物件を「転売することで収益を上げていく」ことになりますので、先に挙げた各種投資とは少々毛色の異なるものであることをご理解いただけることと思います。

さて、このようにサラリと投資の概略をご説明をしてしまうと、不動産投資は非常に手軽なものであるように感じられるかもしれませんが、初心者の方にとっては『もっと詳しく投資の本質や、メリット・デメリットについて知りたい』と思うものですよね。

そこで本日は、不動産投資初心者の方に向けて「始める前に知っておくべき不動産投資の基礎知識やその魅力、リスク等」について解説をさせていただきたいと思います。

不動産投資初心者

 

不動産投資の魅力

不動産投資を行う上で「最大の魅力」となるのが、『収益の安定性』であると言われています。

この投資で扱う不動産は、生きていく上で欠かすことのできない「衣食住」の『住』に関するものとなりますから、たとえどんなに経済状況が悪化したしても完全に需要が無くなる心配はないでしょう。

また、代々の地主さんの中には、企業に勤めることなく「家賃収入と管理業(保有する収益物件の管理業)」のみで生計を立てている方も少なくありませんから、他の投資に比べて『社会的な信用度の高い投資である』とも言えるはずです。

なお、過去にバブル経済が破綻し、土地の価格が大暴落してた際にも、収益物件の賃料に関しては「その下落が非常になだらか」であった上、「一定の水準以下には落ち込まなかった」という事実から、『景気動向に左右され辛い投資対象』ともされています。

ちなみに、銀行の普通預金の金利が0.02%~0.1%以下という低水準にある今の時代に、利回り換算で5~7%、物件次第では10%以上の利益率が見込めるという、『利回りの高さ』も大きな魅力の一つに挙げられでしょう。

※不動産投資の利回り計算は「1年分の賃料÷物件価格×100=利回り」という計算で算出されます。(表面利回り)

 

不動産投資の利回り計算

前項にて利回りについてのお話が出てきましたので、本項では不動産投資物件の利回り計算について解説をしてまいりましょう。

すでにご存知の方も多いかとは思いますが、不動産投資の利回り計算には「表面利回り」「実質利回り」の2種類があり、利回りを計算することで購入を検討している物件の『収益性を数値化』したり、『異なる物件同士の収益性を比較』する場合などに指標として用いることができます。

まず「表面利回り」についてですが、こちらは物件を保有した場合に得られる「1年分の賃料」を「物件価格」で割り、これに「100」を掛けた数値をパーセンテージで表したものとなります。

例えば、月額賃料収入10万円のアパートを1500万円で購入した場合には、

月額10万円×12ヶ月 ÷ 1500万円 ×100 = 利回り8%

という計算になります。

 

一方、実質利回りとは、表面利回りの際には除外されていた「各種の支出(ランニングコスト)」を収入から差し引いた上で行う利回りの計算方法です。

不動産を保有していると物件を維持していくだけでも、建物の修繕費用や固定資産税、共用部分の電気代や定期清掃費など様々な経費が発生してくるものですから、これを収益から差し引いてより現実的な収益性を計算するのが「実質利回りの計算」となります。

なお、この計算に加味していくべき経費としては、

  • 土地と建物の固定資産税・都市計画税
  • 入居者退去後のリフォーム工事費用
  • 賃貸管理業者に支払う管理費・広告宣伝費等
  • 共用部分の電気料金や清掃費(一棟アパート等の場合)
  • 建物の修繕費【屋根の葺き替えや外壁の工事、自然災害被害の修繕費用など】(一棟アパートの場合)
  • 管理費・修繕積立金・専用使用料など(分譲マンションの場合)

以上が主なものとなります。

当然ながら、実質利回りは表面利回りよりも低い数値となりますが、不動産会社の物件広告などには「表面利回りのみが表示されている」ことが多いため、注意が必要でしょう。

また上記の経費の内、どこまでをランニングコストとして盛り込むかによって実質利回りの計算は大きく異なってきますので、投資家としては頭を悩ませる部分でもあります。

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不動産投資のデメリット

さて、ここまで不動産投資の魅力や利回りの計算についてご説明をしてまいりましたが、投資である以上は「デメリットやリスク」も当然存在しているものです。

そこで本項では、不動産投資のマイナス面について解説を行ってみたいと思います。

空室リスク

不動産投資の最大のリスクとなるのが、「空室が埋まらない」という状況となります。

投資家の多くは物件の購入に金融機関からのローンを利用していますが、退去したお部屋に新たな入居者がなかなか決まらない場合には「月々のローンの返済」、そして分譲マンションにおいては「管理費・修繕積立金の支払い」が大家さんの懐を直撃することになるでしょう。

特に一棟アパートの場合には、次々に退去が発生して、全く空室が埋まらない状況もあり得ますので注意が必要です。

また、このような状況となると「通常であれば入居審査で不合格となる申込人」を入居させざるを得ない状況となり、その後に発生する様々なトラブルを自ら招き寄せることにもなりかねませんので、やはり空室の発生は不動産投資最大のリスクと呼べるでしょう。

物件の瑕疵に関するリスク

当然のことながら不動産投資においては、収益物件を購入することが大前提となります。

しかしながら、万一購入した物件に大きな欠陥があれば、これは非常に由々しき問題となるでしょう。

もちろん、不動産売買においては売主の瑕疵担保責任(物件の隠れた欠陥について売主が責任を負うルール)が認められていますが、

築年数が古い物件については『契約書に瑕疵担保免責の特約が入っている』こともありますし、そうでない場合も『瑕疵担保責任を負う期間は3~6ヶ月程度』が通常ですので、問題に気付いた時には「既に期間を超過している」ことも珍しくありません。(個人が売主の場合)

また、契約上で瑕疵担保責任を売主に追及できる状況でも、売主が素直に補修費用を負担してくれるとは限りませんし、場合によっては訴訟となり何年間も法廷闘争を繰り広げるという結果になることさえあるのです。

このように物件の瑕疵の有無は不動産投資を成功させるための重要なファクターとなりますから、充分に注意を払って物件を選ぶ必要があるでしょう。

運用中に発生する様々なトラブル

投資物件の運用に際しては「建物の老朽化」「設備の故障」、そして「入居者との契約上のトラブル」など、思わず対応に頭を抱えてしまいそうな問題が生じてくるものです。

「建物の老朽化」や「設備の故障」については、投資を行う上でのランニングコストと考えることもできますが、建物の傾きや大規模な漏水などが発生すれば、想定外の修繕費用が発生することになりますし、場合によっては建物を建替える以外に解決方法がないケースだってあります。(一棟アパートの場合)

また、大規模な修繕工事となれば「入居者に仮住まいを用意しなければならない」などの問題も発生するでしょう。

一方、「入居者との契約上のトラブル」に関しては、家賃の滞納や近隣に迷惑を掛ける入居者など、様々なパターンが考えられます。

そして、明らかな契約違反の場合でも「入居者は借地借家法という法律で手厚く守られています」から、一方的な追い出しなどは困難であり、訴訟などに発展する可能性もあるのです。

問題解決に専門的な知識が必要となる

前項でもお話しした通り、収益物件を保有していると様々なトラブルに直面するものですが、建物の問題にしろ、契約上のトラブルにしろ、その解決に専門的な知識を要することが少なくありません。

例えば建物の不具合が見つかった際には、その原因を正確に見つけ出して対処する必要がありますから、建築に対しての一定の知識が必要となってきます。

さて、このようなお話をすると「建物のことは工務店などに任せておけばよいのでは?」なんてお声も聞こえて来そうですが、工事を依頼する者(施主)もある程度は建物に関する知識を蓄えておかなければ、建築業者との打ち合わせなどに行き違いが生じる可能性もあるでしょう。

また、同じ工務店やリフォーム会社でも「技術のレベル」にはかなりのバラつきがありますから、質の悪い業者に仕事の依頼をしてしまうと、「何度工事を行っても問題が解決しない上、工事費用も高額」という憂き目に遭うこととなるはずですから、建築会社のクオリティーを見抜ける程度のスキルは身に付けておくべきです。

また、入居者とのトラブルについては法律的な知識が必要となるシーンも少なくありませんし、ヘヴィな滞納者などに対しては弁護士などの専門家に依頼を行う必要があるでしょう。

このように不動産投資で発生するトラブルは非常に専門性の高いものとなりますから、投資を行う側も日々の研鑽が必須となってくるのです。

想定外の出費が発生

台風や地震などで収益物件が破損した場合には、オーナーは当然その修繕義務を負うことになり、時には数十万、数百万円以上の経費が発生する場合があります。

また入居者付きの物件を買った場合には、退去の段になって法外なリフォーム費用が掛かるケースも珍しくありませんから、予想出来ない出費のリスクを常に覚悟しておくことが必要です。

※貸していたお部屋の原状回復費用は借主に請求することが可能ですが、経年劣化によるクロスの劣化、畳の表替えなど、大家さんが負担しなければならに工事も多数発生します。

なお、大家さんには民法における工作物責任という責任も降り懸かってくるものです。

例えば、老朽化した外階段を放置して、腐食が原因で踏板が抜けて入居者が怪我を追えば、その責任をオーナーが負わねばならないルールとなっています。(建物に瑕疵【隠れたキズ】があった場合)

また、突風によって屋根瓦が飛ばされ、その原因がメンテナンス不足によるものである時も同様となりますから、これはなかなかに厳しいルールといえるでしょう。

もちろん、こうしたトラブルに備えた保険なども用意されていますが、収益物件を保有するということは同時に重い責任も背負うことになるのです。

 

現金化が困難

通常の金融商品等であれば、損切する覚悟さえあれば「素早く現金化する」ことが可能ですが、不動産物件に関してはスピーディーな現金化が困難と言わざるを得ません。(例え素早く買い手が見付かっても、まとまった現金を手にする【決済】までにはかなり時間が掛かる)

また、買い手と契約したからと安心していたのに、購入に際してのローンが金融機関に否認されてしまった場合には、契約は白紙に戻ることになりますし、売却後に物件に欠陥(瑕疵)が見付かれば損害賠償はもちろん、取引自体が無効と判断されることもありますから、こうした意味では『非常に扱い辛い投資対象』とも呼ぶことができでしょう。

但し、賃料収入でたっぷり利益を確保した後に高値で転売が可能となれば、その収益は莫大なものとなりますから、メリットとデメリットは文字通り「表裏一体」ということができるはずです。

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不動産投資の勧めまとめ

さてここまで不動産投資の初心者に向けて、そのメリット・デメリット、投資の特徴などについてお話をしてまいりました。

同様のテーマで書かれた他のブログ等よりも少々厳しいことをお話ししてしまったため、「不動産投資は怖いもの」と感じてしまった方もおられるかもしれませんが、残念ながらこれが現実です。

しかしながら、それでも不動産投資の人気が高いのは「デメリットを補っても、余りあるメリットを得られる側面があるから」に他なりません。

また、投資対象が「分譲マンションの一室」である場合と「一棟アパート」のケースでは、背負うリスクの大きさもかなり変わってくるものですし、不動産に関する正しい知識をさえ持っていれば回避できる問題も少なくありませんので、現役の不動産屋さんとしても「この投資にはまだまだ旨味がある!」と断言することができます。

本ブログでは、今後も不動産投資に役立つ情報を数多く取り上げて行きたいと思っておりますので、ご自身のスキルを高めながら不動産投資にトライしてみては如何でしょう。

ではこれにて「不動産投資初心者の方へ」の知恵袋を閉めさせていただきます!