相続と不動産、税金

 

どんな人間にも等しく、そして必ず訪れるのが「あの世に旅立つ」というイベントです。

普段どれだけ元気な方でも、こればかりは避けることができませんから、最近では亡くなる前の準備を整える「終活」などという言葉も流行っていますよね。

親しい方に別れを告げたり、不用品を整理するなど、この一大イベントの前には様々な準備が必要となるでしょうが、最重要課題のひとつに挙げられるのが「相続と相続税」に関する問題なのではないでしょうか。

人間誰しも、愛する家族や大切な人々には財産を残して上げたいと思うものですが、「相続税を払ったら、財産が殆ど残らなかった・・・」などというお話も時折耳にいたしますから、税金に関して全く知識が無い方は非常に不安を感じておられるはずです。

また、不動産にもこの相続の問題は大きく係って来ますから、マイホームやアパート等の収益物件をお持ちの方は、来るべき時に備えて万全の備えを行っておく必要があるでしょう。

そこで本日は、そんな相続と不動産、税金に関する基礎的な知識についてお話ししてみたいと思います。

では、相続と不動産の知恵袋を開いてみましょう。

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相続の仕組みについて

「基礎知識」と題しておりますので、まずは『相続とは何か』というお話からスタートさせていただきたいと思います。

財産をお持ちの方が亡くなり、その財産を配偶者や子供たち受け継ぐ行為を「相続」と呼びます。

では、「一体誰が相続する権利を持っているのか」ということになりますが、民法ではその優先順位を「配偶者(夫・妻)→子供→親(父・母)→兄弟」の順番であると定めているのです。

但し、相続の優先順位のみを定めたのでは、争いが生じてしまう可能性もありますから、法律は「誰がどれくらいの財産を相続するか」という基本的な取り分についても定めています。(法定相続)

仮に3人の子供を持つ夫婦の旦那が亡くなれば、

相続権は妻が(1/2)3人の子供が(1/6ずつ)ということになります。

また、子供が居ない場合には、妻が(2/3)夫の両親が(1/3)です。

そして、両親も子供も居ない場合には、妻が(3/4)旦那の兄妹が(1/4)といった具合に細かな配分まで定められています。

なお法定相続の内容からもわかるとおり、配偶者(夫・妻)→子供→親(父・母)→兄弟という優先順位は、順位のみならず「財産の配分」にも大きな影響を及ぼしているのです。

ちなみに、相続人である子供が死亡しており、その「孫」がいた場合には「両親」や「兄弟」に権利は回らず、「孫」に相続権が発生(代襲相続)することになります。

 

このようにご説明すると、「法定相続の通りにしか相続ができないの?」というお声が聞こえて来そうですが、これは「NO」というのが答えです。

当然、相続人同士の合意があればどのような分配の相続も可能となりますし、「遺言書」があればその定めに従うこととなります。

但し、遺言書により全く財産を与えない旨が記載されていたとしても、法定相続分がある兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」と言われる財産請求の権利が与えられており、取り分は減少するものの一定の財産を相続することが可能となっているのです。(兄弟姉妹【先程の例における旦那の兄妹】には遺留分は発生しません)

 

相続税の仕組みと控除

さて、相続の概要がおおよそご理解いただけたところで、税金のお話へと入って行きましょう。

相続人同士の話し合いによって無事に自分がもらえる財産が確定しても、「何の税金も払わずに財産を手に入れる・・・」という訳にはいきません。

そしてここで登場するのが「相続税」と言われる税金です。

相続した財産の評価に合わせて課税されるこの税金ですが、その税率は10%~55%という法外な税率となっており、場合によってはもらった財産の半分以上を税金として納めなければなりません。

但し、これではあまりにも厳し過ぎるということで、国は相続税に関して一定の控除額を定められています。

なお具体的には、相続する資産の評価額から基礎控除3000万円、他に相続人一人につき600万円の控除が可能というものになります。

よって、相続人が5人いる場合には、基礎控除3000万円+3000万円(600万×5人)=6000万円の控除を受けることができることになるのです。

こうした控除を差し引いても、まだ資産の評価が残るようならば、そこで初めて相続税の納税義務が生じることになります。(相続財産の評価額によって税率は異なります)

相続税の配偶者控除

前項にて、相続税の最もポピュラーな控除制度「基礎控除」についてのご説明をいしましたが、忘れてはならないもう一つの控除が「相続税の配偶者控除」となります。

その名の通り、こちらの制度は亡くなった方(被相続人)の配偶者の相続分について特別な控除を行うという制度ですが、その内容は「配偶者の法定相続分の全額」、若しくは「1億6千万円までの財産」については課税をしないという太っ腹なものとなっているのです。

この制度を利用すれば余程の資産家でない限りは、相続税の支払いを逃れられそうな気もいたしますが、夫婦どちらかが一人で多額の資産を持っていて、『資産の少ない方が先に亡くなった場合』には、全く意味を成さない制度となってしまいますから、ご注意ください。

なお、別記事「不動産の相続税対策について考えてみたいと思います!」では、相続対策として有効な手法を多数ご紹介しておりますので、節税にご興味がお有りの方は是非ともお目通しいただければと思います。

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不動産と相続税

このように相続税に関しては厳格な税制度が設けられている訳ですが、相続財産の中に不動産が含まれていると、事態は更に厄介なことになります。

現金や有価証券であれば、相続対象の価値も一目瞭然となりますが、土地や建物の評価を割り出すのは、それ程簡単なことではありません。

また、現金であれば高額な税率を課せられても、相続した財産の中から納税すれば良いことになりますが、相続対象が不動産である場合には、自宅を半分に切って納税する訳には行きませんし、売却して現金化するのにも時間を要してしまいます。

そこで以下では、不動産相続に関して知っておくべき知識を解説してまいりましょう。

不動産の相続評価

まず、不動産の相続税評価に関しては、税務署が明確にその基準を示しています。

しかしながら、その計算は非常に複雑である上、計算を誤って納税額が足りなくなってしまうと「追徴課税を受ける可能性」もありますので、税理士など専門家にその算定を依頼するのが無難でしょう。

但し、相続評価額は実際に市場で売買されている金額よりも70%程度低く算定されるのが通常ですから、一般的な戸建てや分譲マンションといったマイホーム物件であれば、東京の一等地などでない限り、基礎控除にて納税を逃れることができるケースが殆どとなるはずです。

納税の時期と方法

相続税が発生することとなった場合、納税の期限は相続が発生してから10ヶ月以内と定められています。

そして相続財産に不動産が含まれており、手持ちの資金で納税が不能な場合には、この期限までに不動産を現金化する必要が生じてきます。

なお、国は不動産に対して現物で納税を受け付ける「物納」を許可しておりますから、必ずしも現金化する必要はないものの、物納の評価額は市場価格よりも安い上、物件によっては物納を拒否される場合もありますので注意が必要です。

分割協議は事前に

相続を完了するには相続人全員が署名・捺印をした「遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)」という書類が必須となります。

この協議書は「誰がどれだけの資産を相続するかを取り決めるもの」となりますが、これが完成していないと「相続税の計算さえできない」ことになるでしょう。

特に不動産の場合には、「誰がどの物件を相続するか」などで相続人の意見が割れやすいものですし、そこから「物件の買取り先を見付ける」などということになれば、10ヶ月後の納税期限はあっという間にやって来てしまいます。

よって不動産が相続財産に含まれている場合には、事前の準備が何よりも大切なものとなりますから、事が起こる前に可能な限りの「取り決め」を済ませておくべきです。

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相続の基礎知識まとめ

さて以上が、相続と税金、そして不動産に係る知識の基礎となります。

なお、今回のお話は財産が「プラス」の場合のみのお話となりましたが、実はマイナスの財産、つまり「借金」なども相続の対象です。

但し、相続を拒否することは可能となりますから、負の遺産については「相続放棄」にて対応するべきでしょう。

このように相続では、普段の生活では全く気にしていなかった事が「大きな問題」となって来るものですし、知らないと「ヤバイ」ことが多数存在しているものです。

そして、相続する財産に不動産が含まれているとなると「問題は益々深刻なもの」となりますから、普段から知識を身に付け、先祖代々の財産を賢く受け継いで行きたいものですよね。

ではこれにて、相続と不動産、税金に関する基礎知識に関する知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。